2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『ムタフカズ』

青山真治監督は、アニメを映画とは思っていないそうだが、私も同感で、アニメを観に行くときは、映画を観るつもりではいかない。アニメは絵なのだから、私たちが観ているのはそれを描いた人の文体なのである。カメラの前で生身の役者が演じている映画とはや…

ピエール・ボナール展

国立新美術館にて、オルセー美術館特別企画のピエール・ボナール展が開かれている。 オルセー美術館の館長は去年からローランス・デカールがオランジュリー美術館と兼務しているが、2008年からその職についていたギ・コジュヴァルがナビ派の研究者であったせ…

ヴラマンクはパリとアートに背を向けたか

もう先月の、しかももう一ヶ月近く前の話なんだけれど、静岡市美術館にヴラマンク の展覧会を観に行った。 ヴラマンク のカタログ・レゾネを編纂した、ポール・ヴァレリー美術館の館長、マイテ・ヴァリス=ブレッドてふ人が監修したというので、静岡まで足を…

カタストロフと美術の力展

森美術館に「カタストロフと美術の力展」を、国立新美術館のピエール・ボナールのついでに訪ねた。 美術に力があるかどうかについては判断を保留したい。今のところ、無いと思っている。「ペンは剣よりも強し」という場合「報道も権力の一部」と言っているに…

『音量を上げろタコ!なに歌ってんだか全然わかんねえんだよ!!』

三木聡監督の映画は、『転々』、『インスタント沼』、『俺俺』を観ている。なかでも『インスタント沼』は名作。あのときの風間杜夫は、『蒲田行進曲』の銀ちゃんより好きだ。プロットも素晴らしく、監督自らノベライズした。 以来、三木聡監督の映画は、面白…

『きみの鳥はうたえる』

きみの鳥はうたえる (河出文庫)作者: 佐藤泰志出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2011/05/07メディア: 文庫 クリック: 9回この商品を含むブログ (13件) を見る 佐藤泰志の小説は、時々思い出したかのように映画化される。呉美保監督の『そこのみにて光り…

小倉遊亀

平塚市美術館で小倉遊亀展が開かれている。滋賀県立美術館の所蔵品がだいぶ展示されているみたい。滋賀県立美術館には関西在住の頃はよく訪ねた。アメリカのポストモダンの絵と、それから何と言っても小倉遊亀のコレクションが充実していた記憶があるのに、…

『日日是好日』

図らずも樹木希林追悼といった趣になった『日日是好日』を観た。 黒木華の演じる女性が20歳のときにお茶を習うようになる。そのお茶の先生を演じているのが樹木希林。それから20年以上ずっとその先生のところに通い続けるって話。 こういうクロニクル形式…

『吉本隆明 江藤淳 全対話』

吉本隆明 江藤淳 全対話 (中公文庫)作者:吉本 隆明,江藤 淳発売日: 2017/02/21メディア: 文庫 江藤淳の「奴隷の思想を廃す」っていう文章を読んで感動したので、この対談集を買って読んでみた。「全対話」と言いつつ、1965年から1988年までの間に、たった5回…

『響 -HIBIKI-』

『響 -HIBIKI-』は、後ろにローマ字をつけないと「え?、なんて読むの」って感じになるし、下手するとそもそも読みさえせずにスルーされるって事でこういうタイトルになったんだろうと思うが、平手友梨奈っていう、欅坂46のメンバーが主役だったりして、その…

「大人はすべて敵」

日経スタイルに坂本龍一のインタビュー記事があった。 そのなかに、「今の僕があるのは大島監督のおかげです。葬儀で弔辞を読んだのも、親族やマネジャーなどの『身内』を除けば、大島監督だけ。」 と言い、そして 「当時、大人はすべて敵だと思っていました…

『声めぐり』

声めぐり作者: 齋藤陽道出版社/メーカー: 晶文社発売日: 2018/07/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る こないだこの人の『異なり記念日』を読んで、同時に刊行されているこの本があると知ったので、これは読んでみなくてはと。 前も書いた…