2024-01-01から1年間の記事一覧
スカーレット・ヨハンソンは『マリッジ・ストーリー』か『ジョジョ・ラビット』のどちらかで2019年のアカデミー賞を獲るだろうと目されていた。アカデミー賞ではありがちなことだけれど、そういうと、結果的に無冠に終わったりする。 しかし、あの年にスカー…
枕詞のようにいつも書いているけれど、個人的にはアニメにあまり興味がない。いくつかのアニメの絵は絵でなく記号だと思う。美少女を示す記号、イケメンを示す記号、涙を示す記号、そういう記号の世界に浸る趣味もわからんではないが、今のところ、個人的に…
『メイ・ディセンバー』は、実在の事件の映画化だが、その構造は興味深く、その事件の映画化にあたって、主演予定の女優(ナタリー・ポートマン)が、役作りのために事件の当事者を訪ねる顛末を描く、メタ構造になっている。 つまり、この映画で彼女を演じて…
Perfumeのライブビューイングを除くとこの週末には6本の映画を観た。その中で一番のオススメはと言われると『メイ・ディセンバー』かこれかになると思う。 藤竜也がこの作品でサン・セバスティアン国際映画祭の最優秀俳優賞を受賞した。それも納得の、何とい…
この三連休にこれを含めて7本の映画を観た。ただ、これはPerfumeのアジアツアーの最終公演(タイのバンコクで開かれた)のライブビューイングだったので、正確には映画とはいえないかも。 私の場合、Perfumeというより、ライゾマテイックス目当て。何人くら…
ジャッキー・チェン映画にどっぷりハマってたというタイプではないが、それでもこの映画を観て泣かない人はいないと思う。 東洋の偉大な映画人の美しいエピローグ。そして優しい返歌。 見逃さなくてよかった。これ以上言うことないです。www.youtube.com
この円安時代に久しぶりに大規模な国際的な展覧会。少し前まではこんなのがバンバンあったのが今では信じられない。兵庫県立美術館にミレイのオフィーリアが来た時は、日本では2度と見られないだろうと思ったものだったが、そのあと結局2回来た。実は、あの…
ジム・ブロードベントは2017年の『ベロニカとの記憶』が印象深い。その時書いたブログを読み返したら「『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を気に入った人にはオススメ」とまた書いていた。 ああいう地味ながら華やかな結果を残した映画の代表がわたしの中で…
今更書くこともないくらい大ヒットしてるらしい。 平日、レイトショーで観に行ったので「特別料金」って、尺が58分と短いので安いのかなと思ったら、逆に1700円と。ふつうの料金より安いけどレイトショーとしては高い。 ふだんアニメを観ないものとしては、…
ビートルズ関連の映画は最近毎年のように公開されている。ややインフレ気味。 『ジョン・レノン 失われた週末』は、ファンの間ではそのまま「失われた週末」として知られている、ジョン・レノンとオノ・ヨーコが別居していた一時期、1973年から75年のだいた…
「東海岸系」という言葉があるかどうか知らないが、あるとすればそういう。例えば、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』とか『グッド・ウィル・ハンティング』とか『ボストン・ストロング』とか。単にボストンつながりなだけな気もするが、ともかくも『マン…
吉田恵輔監督作品ではわたしは何と言っても『ヒメアノ〜ル』。ムロツヨシ、佐津川愛美、濱田岳、の特にムロツヨシが絶品だった。 だけど、『愛しのアイリーン』、『空白』は、世評の高さに懐疑的。 『愛しのアイリーン』の木野花、安田顕のリミッターがぶっ…
『○月○日 区長になる女』は、聞くところによると、今年のお正月にポレポレ東中野で封切られて、そのままじわじわヒットして、だんだん地方に広がってきているらしい。 政治を扱ったドキュメンタリー映画としては久しぶりに痛快で、泣きこそしないけれど、素…
白石和彌監督の『碁盤斬り』の原典である落語「柳田格之進」は、キャストの1人でもある立川談慶によると、彼の師匠の立川談志は「今の時代には合わない」と嫌って、生涯やらなかった噺だそうだ。 YouTubeにいくつも上がってる中で古今亭志ん朝のものを聴いて…
小津安二郎の『宗方姉妹』を見た後、まだあまりにも早いので、町田市立国際版画美術館に「幻想のフラヌール―版画家たちの夢・現・幻」を観に行った。 全品所蔵品。町田市立国際版画美術館なら所蔵品だけで回せるかもしれない。 《荒波》門坂流《命の繋がり》…
毎週のように映画画を見てると「ホロコースト大喜利」とも言うべき一大ジャンルは避けて通れないし、それに名作も多いのだけれど、今年は特に、虐殺された人たちの子孫が今は虐殺する側にまわっていると思うと徒労感が募る。 ジョナサン・グレイザー監督は、…
運び込まれた赤ん坊の処置をしていた医師がAEDを取り出した時は思わず下を向いてしまった。心臓、止まってんのかい。とすると、この子を抱いて飛び込んできた母親の腕の中で、もうこの子は死んでたはずだし、少なくとも母親の腕はそれをもう感じてたはずだ。…
エルガルド・モルターラはユダヤ人の一家に生まれたが、まだ幼児のころに、イタリア語もしゃべれないお手伝いさんが「善意」でキリスト教の洗礼を授けてしまった。熱を出して苦しんでたのを見て、このままでは地獄に堕ちてしまうと可哀想に思ったそうだ。 18…
組織や社会が腐っていく、そのリアルな匂いが漂ってくる濃密な映画。『さよなら渓谷』の吉田修一と大森立嗣監督がふたたび。 たぶん今年の映画を振り返ろうとするときには必ず蘇ってくる一作だと思う。 吉田修一は『さよなら渓谷』の時は映画のシナリオまで…
GWには『あまろっく』と『悪は存在しない』を観た。 おそらくこの片方をいい映画だと思う人は片方はいい映画だと思わないかも。映画としての成り立ちがまるで違う、というか、映画の概念すら全く違うようにさえ思える。 ただ、どちらも監督の作家性が色濃く…
いわゆる安宅コレクションを集めた東洋陶磁美術館がリニューアルオープン。 これもまあ実は去年のGWに六本木一丁目の泉屋博古館に来ていた。美術館が改装工事中にあちらに貸出したのだろう。 ただ、あたりまえだけど、耐震設計のされた専用ケースで、ヒモが…
デ・キリコ展のついでに行った日彫展。 《窓》野原昌代https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/k/knockeye/20240504/20240504071035_original.jpg 池川直《MUSAη'(ポリュムニア讃歌)》https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/k/knockeye…
《秋冬山水図》、《破墨山水図》、《山水図》、《四季山水区卷(山水長卷)》、《天橋立図》、《慧可断臂図》と雪舟の6つの国宝が一堂に会す展覧会が、京都国立博物館のみで開催されて、そのあとどこにも巡回しない。その上、それをGWの最中に観に行くって…
兵庫県立美術館といえば、今は横尾忠則現代美術館になっている場所にあった頃は、隣りの市民ギャラリーが小磯良平記念館になっていた。 小磯良平《T嬢の像》1926https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/k/knockeye/20240502/20240502193524_origina…
兵庫県立美術館の展示の充実ぶりに驚いた。贅沢と言うべきか。 兵庫県立美術館 スーラージュと森田子龍を観に行ったのだけれど、同時にキース・ヘリング展も開催中。これは森美術館からこちらに巡回してきたものだ。加えて、常設展では白髪一雄の生誕100年記…
ブランクーシ展を見た後、上野のデ・キリコ展にまわるつもりだったんだけど、常設展で思いのほか長居してしまい、また後日ってことになった。 ここの常設展は、青木繁の《海の幸》、クロード・モネの《黄昏、ヴェネツィア》、ルノワールの《すわる水浴の女》…
アーティゾン美術館でコンスタンティン・ブランクーシ(1876-1957)の展覧会。意外にも本邦初だそうだ。 ブランクーシ 本質を象る これが 《苦しみ》1907こうなって 《眠る幼児》1907こうなった。 《眠れるミューズ》(1910-11)《眠れるミューズ 2》1923(2…
井沢元彦のYouTubeにこれが出てきて唖然とした。 この動画の前段の部分は知っていた。信長のその時代にとっくに決着がついたと思っていたのに、近代になってもまだこれを持ち出す学者がいたってことに驚いた。 動画の内容を知ってもらってる前提で話すが、一…
『ゴーン・ガール』と同じく、旦那を主人公にしたら超コメディなのに、嫁さんの目線から大真面目に描いてるので、笑っていいのかどうか戸惑う。笑うべきだったのかなぁ。ちなみに『ゴーン・ガール』は北野武が絶賛してた。 主人公の旦那さん役は仲野太賀なの…
『オッペンハイマー』を受けて、クリストファー・ノーランのデビュー作が公開中。制作費は何と6,000ドルだそうだ。当時のレートで日本円にして60万〜70万くらい。 要するに友達と手弁当で撮った、クリストファー・ノーランの手見せだな。 お金がかけられな…