2018-01-01から1年間の記事一覧

いま、沖縄で起きていること

いま、沖縄で起きていることに心を傷めない日本人はいないだろうと思う。日本の文化は歴史のはるか以前から、日本の自然が育んだものに他ならない。日本人という生物学上の分類があるわけではなく、それが文化に根拠を置いている分類である以上、その文化の…

2018年に観た映画

年の瀬なので、今年の映画をふりかえります。『ボヘミアン・ラプソディー』とか『カメラを止めるな!』みたく、大ヒットした映画は言及するまでもないんだけど、いい映画だったのに、話題にならなかったなって映画を紹介できればなと思います。個人的に観た月…

『パッドマン』と『大人の恋は、まわり道』

インド映画『パッドマン』と、キアヌ・リーブズ、ウィノナ・ライダーの『大人の恋は、まわり道』のどちらかひとつしか観られないって人に勧めるとしたら、たぶん、実際に観た人の100人中97人くらいは『パッドマン』を勧めると思うし、そもそもこのふたつを並…

青山の児童相談所建設に見る日本のgentrification

青山で児童相談所の建設に反対する人が多いという話を聞いて、アメリカでようやく問題になり始めているgentrificationが、日本ではとっくに完了して、地域社会を根絶していたんだと気付かされた。 日本の民主主義が機能しない原因 は、きっと複合的なものに…

断章ふたつ

加藤典洋の『アメリカの影』を読んでたら、こんな言説にぶつかりました。 「一二世紀において 、パックスとは 、領主間で戦争が行われていないということを意味するものではなかった 。 ( … … )平和とは 、戦争がないことではなく 、戦争のもたらす暴力か…

『アリー/スター誕生』4度目のリメイクの意味

『スター誕生』のオリジナルが公開されたのは1937年、まだ第二次世界大戦も始まってない。ジュディ・ガーランド版、バーブラ・ストライサンド版に続き、今度のレディー・ガガ版は、4度目のリメイク。 ストーリーの骨格はすごくシンプル。大スターが無名の新…

『鈴木家の嘘』

アミュー厚木の映画.comシネマが閉館したことは、つい先日書いたが、Movie Walkerで映画を探していたら、また、厚木に映画館がオープンしていた。kikiという。調べてみるまでもなく、アミュー厚木のあの施設をそのまま使っているに決まってる。いい映画館に…

日本人がホワイトハウスに陳情嘆願

Stop the landfill of Henoko / Oura Bay until a referendum can be held in Okinawa はてなブックマークで知ったけれど、辺野古の埋め立てを中止してくれって言う署名嘆願が、ホワイトハウスの嘆願サイトで始められている。もうすぐ10万人を超えるのではな…

今年のM-1について和牛が言ってた

モノマネ芸人の人たちに言いたいけど、スーパーマラドーナ武智のモノマネは、ウケるか凍りつくか、危険すぎると思う。絶対に誰もやらないでね。 和牛がラジオで言っていたところによると、今年のM-1は、「会場対芸人」みたいな雰囲気になったそうで、それ…

五島美術館の与謝蕪村

今年はちょっと、紅葉を追いかけるみたいなことをしなかった。桜と紅葉は盛りを見極めるのが難しくて、逃すと悉く逃すってことになりかねないが、去年は、箱根美術館、鎌倉獅子舞、目黒自然教育園、畠山美術館、根津美術館とすべて色づきの良いころに訪ねる…

ルーベンスが描いた父親に乳房をふくませる娘

国立西洋美術館にルーベンス展を観に行った。ルーベンスがイタリアにいた頃に焦点を当てた展覧会だそうだ。 ルーベンスは、工房システムで絵を描いた。そういうシステムを作り上げられるのは、画力と政治力があったからに違いない。しかし、そういうシステム…

スーパーマラドーナ武智がされる説教を予測

上沼恵美子の存在の大きさをたぶん関東の人は理解できないんだろう。 どこかの記事に「吉本の大先輩」とか書いてたけど、上沼恵美子が吉本興業に所属したことは一度もない。シロウトもいいとこだな。 上沼恵美子は、海原千里ですよ。Wikipediaの海原千里から…

日本人はクルマを作る百姓

週刊プレイボーイ 2018年 12/17 号 [雑誌]作者: 集英社出版社/メーカー: 集英社発売日: 2018/12/03メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る 西村博之が「日産の経営陣って『七人の侍』の農民みたい」って言ってる。彼はフランス在住だから、フラン…

バッドアート美術館展

東京ドームシティ、ギャラリー・アーモってとこで開催中の「バッドアート美術館展」を観てきた。 度肝をぬかれたのは この《セーフ》という絵。 という具合に、しりあがり寿さんのコメントも楽しい。野球場には魔物が住むってよく言いますけど、こんな奴だっ…

『ボヘミアン・ラプソディ』

ボヘミアン・ラプソディ 宮藤官九郎が『ボヘミアン・ラプソディ』を観て、「今年のベストは『スリー・ビルボード』で決まりと思ってたけど、あやしくなった」って、マジか?、だってあの時は、アカデミー賞を獲った『シェイプ・オブ・ウォーター』より上って…

『ジャクソンハイツへようこそ in Jackson Heights』

マット・ティルナーという人が監督した『ジェイン・ジェイコブズ ニューヨーク都市計画革命』って映画をついこないだ観たばかり。あれは、1960年代、ブルックリンの下町を区画整理しようとする大規模な都市計画を市民が阻止したドキュメンタリーだった。 で…

クドカンが『ボヘミアン・ラプソディー』を激賞

今週の週刊文春で、宮藤官九郎が『ボヘミアン・ラプソディー』を褒めてる。 ライブ・エイドのDVDと見比べたら、その再現の忠実さがハンパないそうだ。途中で水を持ってくる男の髪型までいっしょだとか。 こないだ、なんでこの映画が受けてるんだろう?と書い…

『a ghost story』

たとえば、これから観る映画を選ぶ規準も人それぞれだろうと思うけど、この『a ghost story』の場合は、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』でオスカーを獲得したばかりのケイシー・アフレックと、『キャロル』、『ドラゴンタトゥーの女』のルーニー・マーラ…

バロヴィエール一族展

17日、大貫妙子の「風の道」が頭に浮かぶような良い天気だったので、箱根ガラスの森美術館に「バロヴィエール一族展」を見に出かけた。文字通り《風にそよぐグラス》というのがある。展示ではつっかい棒があるが、信じられないけど、自立するらしい。 自立す…

『ペギー・グッゲンハイム アートに恋した大富豪』

『ボヘミアン・ラプソディー』はどうしてこんなにヒットしてるんだろうと考えてしまうのは世代のせいだろうか。クイーンが伝説のロックバンドだという気がしない。日本ではとにかく女の子に人気があったと記憶している。『オペラ座の夜』のLPは持っていた。…

「被害者の心情=正義」ではない

韓国での徴用工をめぐる判決が日本政府の反発を招いている。 それもそのはずなので、「完全かつ最終的に解決された」は、1965年のときも、2005年のときも、日韓両国共同で確認した結論であった。日本が一方的に宣言したわけではない。2005年のときは、文在寅…

『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』

ニコラス・ケイジの映画は、とりあえず観ておこうと思ってた時期もあったが、こう矢継ぎ早に上陸して、しかも、大抵が単館上映。その上、あっという間に終了してしまう、というのは言い訳かな。正直言って、ニコール・キッドマンと共演した『ブレイクアウト…

フィリップス・コレクション展

ワシントンのフィリップス・コレクションが今年で創立100年だそうで、三菱一号館美術館としては、ジャルダンやルドンの展覧会などで、作品を借用してきた縁もあり、館長の高橋明也さんの個人的な関係もあるのだろうけれど、今回、フィリップス・コレクション…

マルセル・デュシャンと日本美術

マルセル・デュシャンの便器を観に行った。結局、ガラスケースに飾られて、世界の美術館を巡回しているではないかと、なんとなくほくそ笑む気分になる。時空を超えて壮大なプラクティカル・ジョークだ。 この便器が200年、300年後にどうなっているか想像して…

『東西文学論・日本の現代文学』

東西文学論・日本の現代文学 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)作者:吉田 健一講談社Amazon 江藤淳を読んだ後、吉田健一を読むと、扉をあけて明るい戸外へ出た感じがする。桂枝雀と桂米朝の落語の相違にたとえたくなる。桂枝雀って人は、最後は自殺するま…

『クレイジー・リッチ!』

『クレイジー・リッチ!』は、キャストのほとんどがアジア系でありながら、アメリカでヒットした。 でも、それは『太陽の帝国』とか、そういうことではない。扱われているのは、ごくありふれた男女間の恋愛劇。ありふれてない部分があるとしたら、アジア系か…

『華氏119』

2004年の『華氏911』は、そんなにいいと思わなかった。DVDで見始めたのは憶えているが、最後まで観たかどうかおぼえてない。 フェアな語り口だと思わなかった。もちろん、マイケル・ムーア自身が、そういうことを気にかけてないんだろう。 しかし、今回の『…

『search/サーチ』

『search』は、アジア系の親子が主人公なのと、映画のオープニングからエンディングまで全編PCの画面だけで構成されていることで話題になっているが、実際に観てみると、これがなかなか正統的な作りの推理小説のように、推理小説の場合、フェアとかアンフェ…

1968年 激動の時代の芸術

千葉市美術館まで出かけて「1968」をテーマにした展覧会を観たけど、正直言ってピンとこなかった。 一番ピンとこなかったのは、赤瀬川源平の、世に言う「千円札裁判」周辺のパフォーマンスで、これの一体何が面白かったのかと首を傾げた。 赤瀬川源平につい…

『江藤淳コレクション3 文学論1』

江藤淳コレクション〈3〉文学論(1) (ちくま学芸文庫)作者:江藤 淳筑摩書房Amazon 『江藤淳コレクション3 文学論1』を読んだ。 前にも書いたが、江藤淳については、ごく若い時に『夏目漱石』に大いに感動した記憶があるのだけれど、そのあと『小林秀雄』を途…