2018-01-01から1年間の記事一覧

『ジェイン・ジェイコブズ ー ニューヨーク都市計画革命ー』

アミュー厚木映画ドットコムシネマが閉館するのは残念だ。 いわゆる名画座つうのか、ロードショーじゃない、ちょっとマニアックな映画とか、見逃した映画とか、この辺りで観ようとすると、近くて便利だった。 ここが出来るまでは何と言ってもジャック&ベティ…

『ムタフカズ』

青山真治監督は、アニメを映画とは思っていないそうだが、私も同感で、アニメを観に行くときは、映画を観るつもりではいかない。アニメは絵なのだから、私たちが観ているのはそれを描いた人の文体なのである。カメラの前で生身の役者が演じている映画とはや…

ピエール・ボナール展

国立新美術館にて、オルセー美術館特別企画のピエール・ボナール展が開かれている。 オルセー美術館の館長は去年からローランス・デカールがオランジュリー美術館と兼務しているが、2008年からその職についていたギ・コジュヴァルがナビ派の研究者であったせ…

ヴラマンクはパリとアートに背を向けたか

もう先月の、しかももう一ヶ月近く前の話なんだけれど、静岡市美術館にヴラマンク の展覧会を観に行った。 ヴラマンク のカタログ・レゾネを編纂した、ポール・ヴァレリー美術館の館長、マイテ・ヴァリス=ブレッドてふ人が監修したというので、静岡まで足を…

カタストロフと美術の力展

森美術館に「カタストロフと美術の力展」を、国立新美術館のピエール・ボナールのついでに訪ねた。 美術に力があるかどうかについては判断を保留したい。今のところ、無いと思っている。「ペンは剣よりも強し」という場合「報道も権力の一部」と言っているに…

『音量を上げろタコ!なに歌ってんだか全然わかんねえんだよ!!』

三木聡監督の映画は、『転々』、『インスタント沼』、『俺俺』を観ている。なかでも『インスタント沼』は名作。あのときの風間杜夫は、『蒲田行進曲』の銀ちゃんより好きだ。プロットも素晴らしく、監督自らノベライズした。 以来、三木聡監督の映画は、面白…

『きみの鳥はうたえる』

きみの鳥はうたえる (河出文庫)作者: 佐藤泰志出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2011/05/07メディア: 文庫 クリック: 9回この商品を含むブログ (13件) を見る 佐藤泰志の小説は、時々思い出したかのように映画化される。呉美保監督の『そこのみにて光り…

小倉遊亀

平塚市美術館で小倉遊亀展が開かれている。滋賀県立美術館の所蔵品がだいぶ展示されているみたい。滋賀県立美術館には関西在住の頃はよく訪ねた。アメリカのポストモダンの絵と、それから何と言っても小倉遊亀のコレクションが充実していた記憶があるのに、…

『日日是好日』

図らずも樹木希林追悼といった趣になった『日日是好日』を観た。 黒木華の演じる女性が20歳のときにお茶を習うようになる。そのお茶の先生を演じているのが樹木希林。それから20年以上ずっとその先生のところに通い続けるって話。 こういうクロニクル形式…

『吉本隆明 江藤淳 全対話』

吉本隆明 江藤淳 全対話 (中公文庫)作者:吉本 隆明,江藤 淳発売日: 2017/02/21メディア: 文庫 江藤淳の「奴隷の思想を廃す」っていう文章を読んで感動したので、この対談集を買って読んでみた。「全対話」と言いつつ、1965年から1988年までの間に、たった5回…

『響 -HIBIKI-』

『響 -HIBIKI-』は、後ろにローマ字をつけないと「え?、なんて読むの」って感じになるし、下手するとそもそも読みさえせずにスルーされるって事でこういうタイトルになったんだろうと思うが、平手友梨奈っていう、欅坂46のメンバーが主役だったりして、その…

「大人はすべて敵」

日経スタイルに坂本龍一のインタビュー記事があった。 そのなかに、「今の僕があるのは大島監督のおかげです。葬儀で弔辞を読んだのも、親族やマネジャーなどの『身内』を除けば、大島監督だけ。」 と言い、そして 「当時、大人はすべて敵だと思っていました…

『声めぐり』

声めぐり作者: 齋藤陽道出版社/メーカー: 晶文社発売日: 2018/07/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る こないだこの人の『異なり記念日』を読んで、同時に刊行されているこの本があると知ったので、これは読んでみなくてはと。 前も書いた…

『ザ・バンド ザ・ラストワルツ』

ザ・バンドの解散コンサートをマーティン・スコセッシが撮った『ザ・バンド ザ・ラスト・ワルツ』40周年記念リマスター版を観た。 この映画はDVDも出ている。それについて、糸井重里が「ほぼ日」で、沼澤尚てふドラマーと6回シリーズで語り尽くしているので…

『愛しのアイリーン』

愛しのアイリーン 吉田恵輔は、『ヒメアノ~ル』の監督だった。今回の『愛しのアイリーン』も良いけど『ヒメアノ~ル』はすごくよかった。主演の森田剛をはじめ、濱田岳、佐津川愛美、そして、何と言ってもムロツヨシが鮮烈だった。 『愛しのアイリーン』は…

『超越と実存』についてもう少し考えてみた

南直哉さんの『超越と実存』は、ほんとによい本だったので、あのあとずっと考えている。 はたして「私」は超越的な何かを信仰しているかについてだが、阿弥陀仏を人格神として捉えたことは、やはり無いと思う。親鸞聖人も、六字名号を本尊とされて、それまで…

『異なり記念日』

異なり記念日 (シリーズ ケアをひらく)作者: 齋藤陽道出版社/メーカー: 医学書院発売日: 2018/07/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 斎藤陽道っていう写真家の存在はワタリウム美術館の個展で初めて知ったんだったが、なんて音楽的なんだ…

日村さんをフライデーに売った女性はリベンジポルノ防止法違反にならないの?

バナナマン日村勇紀の「淫行」が報じられてる。 フライデーの記事では、今年32歳になる女性が16年前に日村さんと関係があったそうで、最初は20代だと年齢を偽って近づいたそうだが、実年齢を明かした後に、一緒にお酒も飲み、肉体関係も持ったそう。 でも、…

『追想』

『追想』。シアーシャ・ローナン主演。イアン・マキューアン原作の映画は『つぐない』に続いての出演。 いかにも新潮クレスト文庫なふんいき。1962年に、童貞と処女が結婚初夜に上手くいかなくて、そのまま別れちゃうって話。 それだけのことをドラマたらし…

『判決、ふたつの希望』

この映画も日比谷まで観に行った。つうのは、そのころ、シャンテでしかやってなかったので。そういえば、『カメラを止めるな!』も日比谷で観た。今は両方とも海老名でやってる。TOHOシネマズ、何?、この感じ。 レバノンの映画で、監督もレバノン出身のジア…

月岡芳年

中村橋にある練馬区立美術館で月岡芳年の展覧会が開かれている。 月岡芳年は、太田記念美術館で《うぶめ》も観たし、町田の国際版画美術館でも、魁題百撰相をコンプリートしているし、練馬まで足を運ぶまでもなくはないかと迷いはしたが、やっぱり、月岡芳年…

『それから』

ホン・サンス監督の『それから』。 音楽もホン・サンスだそうだ。なんと言ったらいいのか、専門的な言葉の持ち合わせがないので印象的にならざるえないが、あえてレンジを狭くして、時間的にも空間的にも、音像が遠く感じられるセンスの良い音だと思った。映…

『超越と実存 「無常」をめぐる仏教史』

超越と実存 「無常」をめぐる仏教史作者: 南直哉出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2018/01/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る プロローグの最後に 次章以後 、私の独断と偏見で 、以下の言説をとりあげ 、順次意見を述べることにする 。 …

五姓田義松

神奈川県立歴史博物館に「明治150年記念 真明解・明治美術/増殖する新ニューメディア ―神奈川県立博物館50年の精華―」。 みなとみらい線の馬車道駅を降りると目の前にある、昔、横浜正金銀行の本館だった建物がそれ。 五姓田義松の絵が観たいなと思った。 …

『ウインド・リバー』、『オーシャンズ8』

『オーシャンズ8』はダメ。『ウインド・リバー』は○だけど、オススメはしない。 ドロボーを主人公にした映画をダメにしたのは「ハッカー」てふ「デウス・エクス・マキナ」の存在だと思う。 世界一のセキュリティー、でも、ハッカーがひとりいれば破れちゃう…

『戦争論』20周年

前にも書いたけど、週刊SPA!に小林よしのりが「ゴーマニズム宣言」を再開しているが、どうも、懐古的になってしまっているのか、先週までは、オウム事件について3週くらいに渡って書いていた。 確かに、オウム事件の死刑囚たちが大量処刑されたのは今年だけ…

非伝統的電源政策

Twitterで、反原発派と原発再稼働派が罵り合ってる。 そうこうするうちに99%の停電が解消したそうだ。 原発再稼働をいう堀江貴文さんは、福島第二原発の事故の時、まだ長野の刑務所にいたので、あの時の切迫した感じを理解していないんだと思う。 原発につい…

モネ それからの100年

横浜美術館は、キュレーションが面白いし、常設展も充実していて、しかも撮影OKだし、ほぼ展示替えのたびに訪ねている。 今回の「モネ それからの100年」も、もちろんいつものように訪ねたのですけれど、そんなにヒットする企画じゃないだろうと多寡をくくっ…

『「右翼」の戦後史』

「右翼」の戦後史 (講談社現代新書)作者:安田 浩一発売日: 2018/07/19メディア: 新書 小熊英二の『〈民主〉と〈愛国〉』は、戦後20年あまりの日本の思想家たちを俯瞰し、余白ひとつ残すことなく、天球図のジグソーパズルを完成させたことで、戦後日本に思想…

『サバービコン』

ジョージ・クルーニー監督、マット・デイモン主演。 この脚本はコーエン兄弟が1986年に書き上げたものの、そのままお蔵入りになっていたそうだから、30年も前の企画だったことになる。 映画の時代は1959年に設定されている。舞台は、「サバービコン」という…