『春原さんのうた』

 なんか日本にUberがすんなりいかなそうなのは、ひとつはタクシー会社の既得権益の問題で、これが一番大きいのだろうとは思うものの、日本の特殊事情として、公共交通機関が発展し過ぎているってのがあるかも。
 杉田協士監督の『春原さんのうた』が下高井戸シネマで限定上映されるってので、月曜日の夜8時に下高井戸まで、しかもちょっと残業した後に、神奈川から電車バスを乗り継いで観に行ける。日本以外ではちょっとないと思う。

下高井戸シネマ
下高井戸シネマ

 『彼方のうた』を観て「しまった!見落とした」と思っていた『春原さんのうた』。
 『春原さんのうた』はマルセイユ国際映画祭 でグランプリを獲得したり、『彼方のうた』をはるかに上回るのかと思いきや、そうでもなく、よくもわるくも杉田協士節とでも言うべき何かだと感じた。
 先に見たせいもあるか知らないが、『彼方のうた』の方が個人的には好きかも。
 それはただ『春原さんのうた』がより劣るって意味ではなく、どちらにも好きなところと「?」のところがあるのだが、『彼方のうた』の映画のワークショップのシーンが個人的にとりわけ好きなので。
 杉田監督が今後もこれをやり続けて、次回作もこのテイストで撮ったとしても私また観にいくだろうと思う。ただ、本人が飽きるほどこれをやり続けるかどうかはわからない。『彼方のうた』の後のインタビューでは「もういいかな」とか言ってた気がする。
 ほぼ何も起きないのにずっと観てられる映画を撮れる監督は、何かしらの要諦を手にしているのだろうと思う。二ノ宮隆太郎とか。二ノ宮隆太郎が歩いているだけでなぜ目が離せないのかわからない。
 『春原さんのうた』では、フェリーのシーンがよかった。映画からお芝居を削っていく冒険は今後も続けてほしい。
 そう思うと次回も次々回もまだまだこれでやってほしい。
 上映後にトークショーがあったが、30分録画したらiPadに保存する容量がなかった。
 
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