『見はらし世代』ネタバレ

この映画はネタバレなしで観た方がよかったかもしれない。ちなみにこないだの『ブラックバッグ』は難しすぎて2回観た。その余韻もあって、今回は事前に情報を入れすぎたかもしれない。 事前にそっちにはいかないって聞いてた割には、そっちに行ったって感じ…

ベルナール・ビュフェ

中之島香雪美術館で、ベルナール・ビュフェの展覧会が開かれている。~2025.12.14。 ベルナール・ビュフェは、私の頭の中では、佐伯祐三につながるので、大阪でこれが開催されるのは実に似つかわしい。 たまたまなのか知らないが、今週放送された「なんでも…

『秒速5センチメートル』ネタバレ

奥山由之って人は兄弟ふたりの中でも、お父さんのプロデュース感覚を強く受けついでいるのかもしれない。 『アット・ザ・ベンチ』も、わたくし勘違いしていたけど、脚本家は各パートごとに違うものの、演出は奥山由之ひとりだったのね。蓮見翔のパートがまる…

西村有

西村有がデイヴィッド・ツヴィルナーてふギャラリーに所属したそうだ。日本在住作家は草間彌生に続いて2人目だとか。artnewsjapan.com それがどういう意味なのか、いまいちピンとこないが、事の良し悪しはともかく、ニューヨークでは有名なギャラリーに所属…

自公政権解消についての個人的見解

自公政権は戦前の靖国信者と日蓮主義者という戦犯宗教の結託の焼き直しだということはずっと言ってきた。 この26年間、公明党が自民党についていなければ、政権交代していた選挙は確実にあった。つまり、公明党は自民党の集票マシンとして、民意が政治に反…

『ブラックバッグ』ネタバレ

YouTubeのシネマサロンを見といてよかったと思うのはこういうとき。竹内さんが謎解きしてくれている。あんなの一回観ただけでよくここまで理解できるわと驚かされる。これ見てから観に行ったほうがよい。 っていうか、そうか、そりゃ、わたしの頭が追い付か…

『ワン・バトル・アフター・アナザー』ネタバレ

ポール・トーマス・アンダーソン監督はアメリカをよく知っているってことなんだろう。右や左の論客、デマゴーグ、スタンダップコメディアンなどなどをひっくるめて黙らせる作品力。 最低な下ネタから喫緊の政治テーマまで、ひとつの串で貫き通して、「アメリ…

『宝島』

『宝島』は暴動のとこまですごく良かったけどな。 上昇気流に乗って上げて上げて上げていく感じは、公式サイトのコピーどおり「劇場でたぎる」感じだったんだけど、その後、墜落したな。 昇っていくのが上手いだけでももちろん大したものなんだけど、頂から…

『ザ・ウォーク ~少女アマル、8000キロの旅~』

タマラ・コテフスカ監督では『ハニーランド 永遠の谷』というドキュメンタリーを観た。米アカデミー賞の国際映画賞とドキュメンタリー賞の二部門同時にエントリーされたのは史上初だったそうだ。 マケドニアで昔ながらのやり方で蜂蜜を採集して生活している…

『遠い山なみの光』ネタバレ 再考 "a pale view of hills" on the second thought

映画『遠い山なみの光』については、原作者のカズオ・イシグロがエグゼクティブ・プロデューサーってこともあり、終盤のねたばらしにはちょっとショックを受けた。ということは、鑑賞直後のネタバレに書いた。ので、詳細についてはその記事にあたってほしい。…

『ピアノフォルテ』ネタバレ

映画『遠い山なみの光』公開を記念して、石川慶監督の『蜜蜂と遠雷』をくそみそにこき下ろしてきたこのブログなんだが、この『ピアノフォルテ』はまさに、わが意を得たり。 ピアノコンクールのコンテスタントたちの緊迫感ってこれですよ。これをやんなきゃな…

『キス・ザ・フューチャー』ネタバレ

ミロシェビッチの軍が、サラエボの町を包囲した映像に、「アメリカの大統領がNYの町を攻撃するような」とコメントが乗せられる。 これは「ありえない例え」として言ってる。でも、「ありえない」とまで言えるのかと思いながら、穴だらけになるビルを見てい…

『沈黙の艦隊』北極海大海戦

『ゴジラ-1.0』にアカデミー賞をもたらした白組は、やっぱり海戦を描かせると無敵。 Amazonプライムでこの前段を観たときはまだ『ゴジラ-1.0』の前だったから、白組に意識が行ってなかったけど、あの時点で『ゴジラ-1.0』の成功は約束されてたのかと思う。 …

大ゴッホ展 神戸市立博物館

ゴッホ展は今年の七月に大阪市立美術館であったばかり。あちらはアムステルダムのゴッホ美術館の所蔵品だったが、こちらは、クレラー=ミュラー美術館で、ゴッホ美術館につぐゴッホのコレクションで知られている。 フィンセント・ファン・ゴッホ《夜のカフェ…

オスロ、3つの愛の風景 より『LOVE』ネタバレ

ダーグ・ヨハン・ハウゲルード監督の三部作の完結編。これが完結編なのはよくわかる。いちばん大人。これがいちばん好きかな。それに、これがいちばん「オスロ」を感じさせる。この三部作全体の主役があるとすれば、それはオスロって街なんだなって思わせて…

根来、売茶翁 大阪市立美術館

大阪市立美術館で「NEGORO 根来 - 赤と黒のうるし」(~2025.11.9)と「売茶翁から花月菴―煎茶道はここから始まった!―」(~2025.10.219)が開催中。 何かこう美術館側が押してるのは「根来」の方みたい。 根来 大阪市立美術館 もちろん、「根来」の展…

ユダヤ教超正統派と反シオニズム

YouTubeとTVの違いは、TVでいくらザッピングしててもこんな動画には出くわさない。 先日の映画『壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記』には、イスラエル国内のユダヤ教超正統派のデモが紹介されていたが、このYouTubeが取り上げているのはロンドン…

エミー賞受賞式が大荒れなんだけど

9月14日にロサンゼルスで行われたエミー賞の受賞式で、受賞者のひとりハンナ・アインバインダーが「ユダヤ人として」ユダヤ人とイスラエルは違うと「パレスチナに自由を!」と叫んでスピーチを締めくくった。www.huffingtonpost.jp また、同じ受賞式で、…

オスロ、3つの愛の風景 より『SEX』ネタバレ

オスロ、3つの愛の風景 より『SEX』 ダーグ・ヨハン・ハウゲルード監督自身は、この三部作をこれから観始めてほしかったそうだ。だったらそう言いなさいよって話だが、そこはLGBTの人らしく、鑑賞にも多様性を認めているらしい。 でも、これから観ろ…

『遠い山なみの光』ネタバレ

ひさしぶりに盛大にネタバレを書くことになったのは、最近、原作小説を読み返したばかりというだけでなく、この映画のエグゼクティブ・プロデューサーが原作者のカズオ・イシグロだとわかったからで。 前に書いたとおり、石川慶監督の原作改変のやり方には『…

オスロ、3つの愛の風景 より『DREAMS』ネタバレ

ダーグ・ヨハン・ハウゲルードっていうノルウェーの映画監督の「オスロ、3つの愛の風景DREAMS LOVE SEX」が、「どういうこと?」って感じで公開されている。 今年は何か3作品まとめて公開が流行ってるのか、近いところでは「ショーン・ベイカ…

GHFについて

パレスチナの続報。っていうには、もう遅すぎるが、このまえ上げた国境なき医師団に参加している日本女性の証言について、もう少し踏み込んでみたら、もうとっくに世界中でニュースになっていたみたい。 www.msf.or.jp 国連、ガザ人道財団を批判「人道的観点…

『パルテノペ ナポリの宝石』ネタバレ

8月22日に公開されていたのをうっかり見逃すところだったのは、パオロ・ソレンティーノ監督だと気が付いてなかったから。そんなに観てるわけではないが、この人の『グランド・フィナーレ』って映画は、ゴージャスな絵と思索的な内容で、すごく気に入って…

『ふつうの子ども』ネタバレ

結局、『遠い山なみの光』は観に行かなくても済むかもしれない。今週はいい映画が連続で手が回らないかもしれない。でも、原作小説を読みなおす機会ができてよかった。 『ふつうの子ども』は『そこのみにて光輝く』『ぼくが生きてる、ふたつの世界』の呉美保…

『壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記』ネタバレ

川上泰徳監督の舞台挨拶があるのは、こないだ『テイクアウト』を観に行ったときポスターで確認していたが、映画の舞台挨拶に懐疑的になる癖が出て、あれこれ思い悩んでいた。というのは、偶然、観るつもりにしていた映画がちょうどその時間帯に折り重なって…

『遠い山なみの光』映画観る前に思うこと

言わずと知れたノーベル文学賞作家のカズオ・イシグロの長編デビュー作『遠い山なみの光』は、今読んでも鮮烈な印象を受ける。 もうすぐ、石川慶監督の手になる映画が公開されるにあたって、久しぶりに読み直しながら、 「憶えてるところもあるけど、肝心な…

ショーン・ベイカー初期傑作選 から 『テイクアウト』ネタバレ

『テイクアウト』も見逃さなくてよかった。十三駅前の第七藝術劇場ってところでやってた。十三って駅は乗り換えで頻繁に使うが、ここで降りたことは一度もなかったことに気が付いた。 『フォー・レター・ワーズ』(2000)が大学生のリユニオン・パーティーの…

『亀は意外と速く泳ぐ』『リンダ リンダ リンダ』『8番出口』ネタバレ

『亀は意外と速く泳ぐ』『リンダ リンダ リンダ』『8番出口』と3本続けて観た。 『8番出口』は言わずと知れた新作。『リンダ リンダ リンダ』『亀は意外と速く泳ぐ』はともに2005年の映画の再上映なんだが、わたしにとってはどれも初見。そういうフラ…

ショーン・ベイカー初期傑作選から『プリンス・オブ・ブロードウェイ』

前に書いたとおり、ショーン・ベイカー初期傑作選のうち『テイクアウト』を除く3本は観た。『テイクアウト』を見逃したのは、これも前に書いたとおり『となりの宇宙人』があまりに不入りだったために風邪をひいてしまったから。 しかし、『となりの宇宙人』…

小浜~京都ルートは鬼門

北陸新幹線の延伸が暗礁に乗り上げている。だから、「小浜~京都」ルートは鬼門だと言いたいわけではない。 北陸新幹線の延伸ルートとしては2016年に「小浜・京都ルート」で決まったが、敦賀まで実際につながった今になって「反対」の声が続々と上がって…