『フォロウイング』

 『オッペンハイマー』を受けて、クリストファー・ノーランのデビュー作が公開中。制作費は何と6,000ドルだそうだ。当時のレートで日本円にして60万〜70万くらい。
 要するに友達と手弁当で撮った、クリストファー・ノーランの手見せだな。
 お金がかけられない分、シナリオにこりにこって見応えのあるミステリーに仕立ててある。モノクロームなのも画面がしょぼく見えないための工夫だろう。時系列をいじるのも退屈させないサービスの意味合いが大きい。
 タランティーノの『レザボアドッグズ』よりさらに小規模ながら、鑑賞に耐えるエンターテイメントに仕上げる力量はさすが。クリストファー・ノーランの立志伝がここから始まると思えば感服せざる得ない。
 だから、『オッペンハイマー』も「どうして広島を描かなかったの?」とか言われても「知らねえよ」ってことだと思う。どこまでも映画であって市民運動じゃない。
 もし日本人が本気で原爆禁止を求めるなら政府にそれを訴える権利は日本人自身が有しているはずで、それもせずに、結局、アメリカの核の傘の下にいて、映画にだけ文句をつけるって、そりゃ見透かされるでしょう。


www.youtube.com