2013-01-01から1年間の記事一覧

「キャプテン・フィリップス」

神戸国際松竹で「キャプテン・フィリップス」を観た。 名優トム・ハンクス(「ウォルト・ディズニーの約束」が楽しみ)ということもあるけれど、この映画が気になったのは、高野秀行の『謎の独立国家ソマリランド』を読んだから。あれを読むとちょっとした‘…

知る権利

城繁幸が週刊SPA!のコラムに書いていた記事がおもしろかったので、紹介したいなと思いつつ、年末の忙しさにとり紛れていたが、どうやら紹介するまでもなく、同じ文章がブログにアップされているらしく、はてなブックマークの数をみると、わりと反響のあ…

茶番の連鎖について

福島菊次郎の映画を観たり写真展を見に行ったりして、この人のすごさには圧倒させられているけれど、その中で一点だけ、おやっ?という感じの不協和音を感じるのは、昭和天皇の戦争責任についてで、福島菊次郎その人は一兵卒として参戦体験があるのだから、…

「ファルージャ」

家族あての脅迫状を偶然見てしまい、「殺されていたらこんなことにならなかったのに」と、パニックになった高遠菜穂子さんはお母さんにビンタされた。 「二度とそんなこと言うんじゃないよ!。とっとと行ってイラク人に会ってきな!。イラク支援やめるなんて…

「鑑定士と顔のない依頼人」

先日もちらっと書いたけれど、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の新作「鑑定士と顔のない依頼人」をららぽーと横浜で観た。なにしろ、日比谷シャンテは連日の全席完売なんだけれど、ららぽーと横浜は落ち着いて座れたのに、あれはどうしたわけなのか。わたくし…

古径と土牛

山種美術館で特別展「古径と土牛」。 私はもともと小倉遊亀が好きで、その縁をたぐって小林古径も好きになった。奧山土牛は古径の弟子だそうだ。ちなみに古径は梶田半古の弟子。 明治40年「闘草(くさあわせ)」、「大毘古命図」などを観ると、古径の絵は…

「愛しのフリーダ」「ウォール・フラワー」

今年、降って湧いたかのようなボール・マッカートニーの来日公演だったが、聞きに行った人たちの発言を目にするたびに、いい公演だったんだなという思いを強くする。坪内祐三、鴻上尚史、文藝春秋の今月号には、奥田英朗という人のレポートも載っていた(つ…

横浜美術館の常設展

下村観山展が開催されている横浜美術館の常設展は、例外はあるかもしれないけれどたいていは撮影可なので、まわりに迷惑にならないようにしながら、撮らせてもらってるのだけれど、やっぱり、実感としては、写真を撮るときの頭と絵を観るときの頭は別みたい…

特定秘密法をめぐる議論

今週の週刊文春に宮崎哲弥が 「機密保護法制の整備は、インテリジェンス機関設立、運営のための必要条件であり、“国を戦争に導く”どころか“戦争を避ける”ために不可欠なピースのひとつ」 と書いている。 ただし、 「特定秘密保護法案自体の出来は粗い。とく…

下村観山

昨日のサイデンステッカーの付け足しになるけれど、明治時代に源氏物語を英訳した(抄訳だけれど)末松謙澄という人がいたそうで、話がそこに及んだついでに、明治時代の日本人の方が、今の日本人より英語がうまかった、たとえば、夏目漱石とか内村鑑三とか…

『世界文学としての源氏物語』

世界文学としての源氏物語―サイデンステッカー氏に訊く作者: 伊井春樹出版社/メーカー: 笠間書院発売日: 2005/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 週刊文春に、坪内祐三が文庫本を紹介する連載がある。そこで、エドワード・サイデンステッ…

特定秘密保護法についてのハフィントン・ポストの記事

特定秘密保護法が成立した。金曜日の国会前はデモの人ですごかったそうだ。 安倍晋三首相は、おそらく、60年安保のときのおじいちゃんの姿を自分にだぶらせていることだろう。 岸信介を、福田和也が評価していたけれど、それはやっぱり、民主主義の発想で…

「フィルス」

「トランス」のジェームズ・マカヴォイが主演する「フィルス」を、映画が千円の日なので、観にいった。シネマライズっていう、渋谷のスペイン坂を上がりきったところにある「ジス・マスト・ビー・ザ・プレイス」を観た映画館だけど、ちなみに、この「スペイ…

『鞄の中身』、『恋しくて』

鞄の中身 (講談社文芸文庫)作者: 吉行淳之介出版社/メーカー: 講談社発売日: 1990/05/02メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (8件) を見る 金曜日に東京モーターショーに行ったが、平日ということで油断して昼からでかけたのが甘かったのか、…

言霊USA

週刊文春の「言霊USA」というコラムに町山智浩が、「郵政は国の要だ・・・」と書いている。 初耳な話で驚いている。いろんなものが「国の要」になるものだ。 アメリカではそうかも知れないが、私の知るかぎりでは、いまの日本国憲法にそういう規定はない…

特定秘密保護法について

日曜日もよく晴れたので、かならずしも風景向きとは言えないカメラだけしかないけれど、とりあえず大山寺にでかけた。 バスとケーブルが混むのは致し方ないとしても、とりあえずこの時期だけでも、自家用車の乗り入れは規制しなきゃダメだわ。駐車場がないっ…

『謎の独立国家 ソマリランド』

夏目漱石が、田んぼの脇を正岡子規と歩いていて、「米が田んぼからとれるのが今わかった」と言って、正岡子規を驚かせたことがある。「江戸っ子は米が稲からとれるのも知らない」。 漱石はのちにこのときのことについて、「あれはそういう事実関係についてい…

奴らを通すな

新聞の書評欄に『奴らを通すな!』という本の紹介があった。ちょっと引っかかるものがあったので検索してみると、YouTubeをはじめ、いろいろなサイトで、在特会のデモが、自分たちの町に立ち入るのを阻止した人たちがいたことを、遅ればせながら知ったわけだ…

「夢と狂気の王国」、「悪の法則」

「エンディングノート」で、「えっ」という感じの鮮烈なデビューを飾った砂田麻美監督は、西川美和とおなじく、是枝裕和のもとで働いていた人なんだけれど、是枝裕和と糸井重里の対談では、‘砂田監督本人はフィクションをやりたがってる’みたいな話をしてい…

『イラクサ』『上岡龍太郎 話芸一代』

イラクサ (新潮クレスト・ブックス)作者: アリス・マンロー,小竹由美子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/03/29メディア: ハードカバー購入: 2人 クリック: 32回この商品を含むブログ (86件) を見る上岡龍太郎 話芸一代作者: 戸田学出版社/メーカー: 青土…

「清須会議」

三谷幸喜監督待望の新作「清須会議」を観た。 この映画は、すっごい前からキャンペーンしていた。「スター・トレック イントゥ・ダークネス」と双璧だろう。「スター・トレック・・・」の方は、最初宣伝していたのと微妙に内容が変わってる気がするのは、気…

井戸茶碗、六本木クロッシング

根津美術館で「井戸茶碗 戦国武将が憧れたうつわ」という展覧会が開催中、12月15日まで。井戸茶碗が、大井戸、小井戸、青井戸あわせて74点展示されています。これほどの数が一度に展示されることはちょっとないでしょう。 ‘枇杷色’と呼ばれる明るい釉…

「犬のための建築展」、『パンといっぴき』

三日続けて残業しないで帰ったおかげか、なんとなく疲れもとれて、今日はけっこうあちこち出歩いたんだけれど、まずまっさきに紹介したいのは、乃木坂のTOTOギャラリー間でやっている「犬のための建築展」。 Architecture for Dogsはてなブックマーク - …

『首のたるみが気になるの』

首のたるみが気になるの作者: ノーラ・エフロン,阿川佐和子出版社/メーカー: 集英社発売日: 2013/09/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る 去年亡くなったノーラ・エフロンが、2006年に発表したエッセーで、ニューヨークタイムズ紙のベ…

『供述によるとペレイラは・・・』

供述によるとペレイラは… (白水Uブックス―海外小説の誘惑)作者: アントニオタブッキ,Antonio Tabucchi,須賀敦子出版社/メーカー: 白水社発売日: 2000/08/01メディア: 新書購入: 2人 クリック: 22回この商品を含むブログ (25件) を見る メチャクチャ疲れてた…

「トランス」「2GUNS」「フローズン・グラウンド」

「トランス」、「2GUNS」、「フローズン・グラウンド」、今日観たばかりの映画、とっくに観たけど書いてなかった映画などについて、まとめて書くのは、今日、レイトショーで「2GUNS」を観て、なんつうのか、つまりこういうのが小林信彦のいうB級…

『市場と権力』

『市場と権力』という本が出てるのは、週刊現代の書評で知っていた。竹中平蔵の、ぶっちゃけていえば、身上調書みたいなもので、このときの書評に「竹中平蔵がなぜ改革に熱心なのかよくわかった」みたいなことが書いていて、ウゲッ、て、ひさしぶりにかなり…

モローとルオー

ギュスターヴ・カイユボットの遺贈した印象派のコレクションが、すったもんだの末に、リュクサンブール美術館に展示されたのが1897年だそうだが、ギュスターヴ・モローが72歳で亡くなったのはその翌年で、モローの遺言は、彼の作品を、邸宅ごと美術館…

カイユボット展

ブリジストン美術館でカイユボット展が開催中、12月29日まで。 カイユボットの自画像はこんな感じですが、オトコマエ。 ゲイリー・オールドマンに似てます。 しかも、おうちは、とりあえずお金のことは考えないでいられるくらいのお金持ちで、弟さんのマ…

オープンな才能、クローズな才能

「笑っていいとも!」が終わる。といってもこれといった感慨もないけれど、アメリカのQE2もうらやむ、あざやかな出口戦略。清水ミチコが言ってたそうだが、引退を宣言できるタレントは、ごくひとにぎりのめぐまれたひとたちだけで、大概のタレントはいつ…