『首のたるみが気になるの』

knockeye2013-11-05

 去年亡くなったノーラ・エフロンが、2006年に発表したエッセーで、ニューヨークタイムズ紙のベストセラーリスト(というものがあるんですと)に、40週連続してランクインした大ベストセラーだそうだ。
 それがなぜ今年になって、やっと邦訳が出るのかといえば、それは、阿川佐和子に翻訳を頼んだからだ。あんな多忙な人に。
 ノーラ・エフロンの映画は好きだった。私がオススメしたいのは、そんな評判よくないみたいだけど、ニコール・キッドマンが主演した「奥様は魔女」のこのバージョン、「ノーラ・エフロン監督による音声解説」が入ってるヤツ。いろんなバージョンがあって、入ってないヤツもあるのかしれないので、要注意。
 一度ふつうに全編を観た後に、こんどは最初からノーラ・エフロンの解説付きで見直すと面白い。
 ちなみに、三谷幸喜の「マジックアワー」という映画の題名は、このノーラ・エフロンの副音声から採ったと、わたしはかってに推測している。
 「映画監督は、撮影というパーティーのホストのようなもの」という言葉もあって、これはノーラ・エフロンの映画の撮り方をすごくよく表していると思う。
 メグ・ライアントム・ハンクスコンビの「めぐり逢えたら」と「ユー・ガット・メール」は、やっぱり名作でしょう。
 特に「ユー・ガット・メール」は、あれは絶対ジェーン・オースチンの「高慢と偏見」だと思ってたら、このエッセーに、「ジェーン・オースチンの六作品を最低十回は読んだ」と書いてあったので、ほらねって。
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 メグ・ライアンニコール・キッドマンの後をついで「ジュリー&ジュリア」でヒロインになったのがエイミー・アダムス
 共通しているのは、頭がよくて、明るくて、前向きな感じかと思うのだけれどどうでしょう。
 エイミー・アダムスは、クリント・イーストウッドの娘役を演じた「人生の特等席」、フィリップ・シーモア・ホフマンの奥さんを演じた「ザ・マスター」もよかったけど、ディズニーの「魔法にかけられて」のコメディエンヌぶりが出色だったと思うわけです。舞台もニューヨークだし、あれがノーラ・エフロンの目にとまったのではないのかなと、これも勝手に推測しています。
 ただ、フィリップ・シーモア・ホフマンと、メリル・ストリープとは、「ダウト」でも共演していますけど。
 メリル・ストリープが演じた、ジュリア・チャイルドの書いた料理本についても、「私を通り過ぎた男とレシピたち」という章でふれられています。男と料理がこんなふうにからめて語られるのが面白い。
 「ジュリー&ジュリア」が持っている独特の苦さが、わたしはすきです。ノーラ・エフロン自身の心境は、ジュリアに近かったと思うんです。でも、ジュリーの一人称で映画は語られる。物語が語り手のものとはかぎらないということなんでしょうか。
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