今週の週刊文春、小林信彦のエッセーは、塚本晋也監督の「野火」について。タイムリーとは言えないと思うんだけど、小林信彦はさすがに「のびのびになった」とか書かないね。俺が先に書いちゃったからかなぁ。いいのに、使ってくれて。
急に秋めいてきて元気いっぱい。けふは映画を2本観ました。まず、「テッド2」です。
1作目は言わずと知れたまさかの大ヒット。セス・マクファーレンはアカデミー賞の司会までつとめて顰蹙を買ったんだけど、今回のは前よりさらにイイ。これは、けっこう稀有なことですよ。「キック・アス」も、「ハングオーバー!」も2作目は「うーん」て感じになってた。想像だけど、スタッフ全員がわかってる感じ。こういうの作る現場にひとりでもわかってないのがいると、のってけないと思うんだけど、そういう痕跡もない。それから、地味に重要だと思うのは、町山智浩が、字幕の監修をしている。前回は面白かったけど、2作目はどうかなぁとか逡巡する必要はありません。「荒野はつらいよ・・・」でこけたのが逆に良かったのかも。
ちなみに、テッドの方が前作のカノジョと続いてて、相棒のマーク・ウォールバーグの方が破局してるていう設定がストーリーの推進力になってる。そこが勝利のポイントかも。今回のマドンナはアマンダ・セイフライド。前回のミラ・クニス同様チャーミングです。
「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」でも感じたけど、Twitterとか、Googleとか新しい文化を映画に反映するの、アメリカ映画はホントにうまい。古い話になると、故・ノーラ・エフロンの「ユー・ガット・メール」のメールや、「ジュリー&ジュリア」のブログとか、時代を映す旺盛な食欲がコメディやパロディには絶対欠かすことができない要素だと思います。
それで、ついでに思い出したけど、テッドが、モーガン・フリーマン演ずる弁護士に、「今の君は、ジャスティン・ビーバーだ」と言われるシーンがあった。ジャスティン・ビーバーが来日して、靖国に参拝したことがあって、それをネトウヨが喜んでんの。国際的には、靖国って、「ジャスティン・ビーバーが参拝する場所」なのよ。あんなのまじめな顔して参拝してる政治家はホントバカだよな。天皇陛下は絶対参拝しないでしょ。それが、まともな政治感覚というもんです。
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もう一本は、「わたしに会うまでの1600キロ」という、なんともモッチャリした邦題が話題になってる、リース・ウィザースプーン主演の実話です。
監督は「ダラス・バイヤーズクラブ」を撮ったジャン=マルク・ヴァレ。脚本と製作総指揮は、ニック・ホーンビィ。実話を撮るのがうまいということは、派手な見た目にごまかされないで、本質を描くのがうまいのでしょう。
同じ大学に通い始めた母親との会話。
「わたしが同じ年の頃の母さんより教養があるなんて、想像もしなかったでしょ」
「いいのよ、思い描いた通りだわ、それで自分が傷つくとも知らずにね。」
なぜかわからないけど、人生につまずいたときに、長旅が効くのはホントみたい。長旅あるあるは満載です。たとえば、ヒッチハイクしようとして、「誰かレイプしてバラバラ死体にしてくんねえかな」とか、一瞬頭をよぎる感じとか、歩きながらのひとり言とか、同じ歌が頭の中でずっと回ってたり。
この主人公が歩いているのは、パシフィック・クレスト・トレイルというロングトレイル。日本でもロングトレイルを整備しようという動きはあるけど、この長さの自然歩道は到底無理。でも、日本でも徒歩で列島縦断している女性もいるし、実際にしたクレイグ・マクラクランていうニュージーランド人もいた。それから、日本人でアメリカのロングトレイルを歩いた人では、ジョン・ミューア・トレイルを歩いた加藤則芳が、多分、有名です。
世の中には、旅人と村人がいるらしいけど、そのどちらか一方の視点しかない人は、差別的になりがちだと思う。
『わたしに会うまでの1600キロ』公式サイト
- 作者: シェリル・ストレイド,雨海弘美,矢羽野薫
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ジョン・ミューア・トレイルを行く―バックパッキング340キロ
- 作者: 加藤則芳
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