2011-01-01から1年間の記事一覧

抗議する顔、顔のない抗議

ニューズウィークに載っていた「変わる世界、変われない日本」という記事は、辛辣なというか、自嘲的なというか、いずれにせよ心に引っかかるものだった。 遅くともバブルがはじけたころから、あるいは、それよりももっと早い頃から、この国は変わらなければ…

シャルロット・ペリアンと日本

鎌倉の神奈川県立美術館で、「シャルロットペリアンと日本」展が開かれている。 開館60周年 シャルロット・ペリアンと日本 : Charlotte Perriand et le Japon:神奈川県立近代美術館<鎌倉館>はてなブックマーク - 開館60周年 シャルロット・ペリアンと日本…

「ワイルド7」

映画「ワイルド7」は観にいくかどうか迷ってたのだけれど、下の望月三起也のインタビューを読んで観にいくことに決めた。 原作者・望月三起也先生は映画『ワイルド7』をどう見たか? | 映画・エンタメガイド インタビューはてなブックマーク - 原作者・望…

『神屋宗湛の残した日記』

今年は、東日本大震災の影響で(と、自分で思っているだけだが)、読書量が減った。来年はもう少し本を読もうと思う。神屋宗湛の残した日記 (講談社文芸文庫)作者: 井伏鱒二出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/02/10メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 7回…

重森三玲、夜咄の茶

ワタリウム美術館で重森三玲の展覧会。 watari-um - exhibition - 重森三玲はてなブックマーク - watari-um - exhibition - 重森三玲 重森三玲の展覧会といっても、どうするのだろうとは、誰もが思うところではないか。 会場内に東福寺本坊の庭園《北斗七星…

「サラの鍵」

新宿武蔵野館で「サラの鍵」。 映画『サラの鍵』公式ブログはてなブックマーク - 映画『サラの鍵』公式ブログ 何を悼むべきなのかを私たちは見失いがちになる。 この映画の登場人物の中では、エイダン・クインが演じたウィリアム(サラの息子)に、私は歳が…

意味がなく思惑だけがあるマスコミの言葉

野田佳彦首相がこの日、福島第一原発について「冷温停止状態」を宣言した。 しかし、くわしく記事を読むと「冷温停止状態」は、「冷温停止」とは違うのだそうだ。 困難な状況に直面したとき、面と向かって解決しようとせず、レトリックで誤魔化そうとするの…

書き漏らした展覧会について

師走というわけでもなかろうけれど、このところ、仕事に追われている。 それで、観にいったけど、書き漏らしている展覧会について、ちょっと書く。といいつつもうすぐ日付が変わるわけで。 「ウインターズ・ボーン」を日比谷に観にいったついでに、出光美術…

アメリカン・ドリームorスウェーデン・モデル

十字軍物語〈3〉作者: 塩野七生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/12/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (21件) を見る 『十字軍物語』を完結させた塩野七生が、来日したときのインタビューで「自分が正しいと思っている人…

ベン・シャーン

葉山の美術館でベン・シャーン展。 ベン・シャーン クロスメディア・アーティストはてなブックマーク - ベン・シャーン クロスメディア・アーティスト ‘クロスメディア・アーティスト’という副題が付いているのは、今回の展示では、今まであまり注目されてこ…

町山智浩

「ウインターズ・ボーン」は映画そのものの評判はもちろんのこと、パンフレットの評判もすこぶるよい。 あの日は、途中で話がそれてしまったが、マリデス・シスコの唄もすごくよい。町山智浩によるとヒルビリーの民謡はカントリー&ウエスタンの原型で、これ…

「不惑のアダージョ」辛口編

‘辛口編’というほどのこともないのだけれど、主人公が‘なぜ修道女なのか?’という点について、好意的になりうるか否かで、この映画に対する評価はずいぶん変わるだろうということを言いたいだけ。 この映画は、修道女の日常を丹念に描いてはいない。作家の関…

「不惑のアダージョ」

映画「不惑のアダージョ」公式サイトはてなブックマーク - 映画「不惑のアダージョ」公式サイト ユーロスペースで「不惑のアダージョ」。 海外の映画祭で公開されるときは‘Autumn Adagio’というタイトルになっているようだ。‘秋のアダージョ’は、ふと、アニ…

「ウインターズ・ボーン」

映画『ウィンターズ・ボーン』公式サイト │10月29日(土)、TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー 「ウインターズ・ボーン」という題名を、「冬の骨」と直訳していけない意味が何かあるのだろうかといぶかしく思ったが、パンフレットを読むと、ここでの‘b…

ズコッティ公園

先日、‘Occupy ウォール街’のデモが‘年越し派遣村’のようになりつつあると書いたが、その後、日経WEBに掲載された記事にも同じようなことが書いてあった。 その記事に添えられたズコッティ公園を埋め尽くすテントの写真を見れば、日本人なら思わず…

西和彦のスティーブ・ジョブズ追悼記事

あまたあるスティーブ・ジョブスの追悼記事も今や偉人伝一冊に綴り終えられた観があるなかで、西和彦の追悼記事は異色で分析が鋭いと思った。 【追悼】Jobs氏の誤算、そして次に狙っていたものはてなブックマーク - 【追悼】Jobs氏の誤算、そして次に狙って…

‘Occupy’のデモについて

‘Occupy’のデモは、わかりやすすぎるほどわかりやすい部分と、何が何だかまったく分からない部分のふたつがある。わかりやすすぎるためにわかりにくいともいえる。 わかりやすい部分は、‘tax the Rich’という主張で、リーマンショックのときに…

東京都が自前の送電網

東京都が電力供給事業 自前の送電網を無料提供 :日本経済新聞 送電網をひとつの電力会社が独占している弊害については、公正な競争が行われないために、自然エネルギーが普及しない、電気料金が高い、送電網のスマートグリッド化が遅れ、結果として、日本の…

大山に紅葉狩り

土曜日はいちにちじゅう嵐でどこにも行けず、今日は、ライトアップの始まった大山に、紅葉狩りに出かけたが、まだ株によってばらつきがあって、大山寺の石段が‘紅葉の天井’という感じになるのは、たぶん今週末くらいだろう。 なにしろ今日は、初夏をおもわせ…

山種コレクション、畠山即翁

土曜もそうだけれど、この日曜日も季節外れの暖かさで、街ゆく人の中には半袖の人も見かけた。 山種美術館で「ザ ベスト オブ 山種コレクション」の前期展。 速水御舟の<名樹散椿>を、私はずっと‘めいじゅさんちん’と読んでいた。 椿は花を散らすとき、萼…

「マネーボール」

この映画の原作、2003年のマイケル・ルイスの著作「マネーボール」の原題は「The Art of Winning an Unfair Game(フェアじゃないゲームに勝つ技術)」だ。 しかし、この映画の魅力は、貧乏なチームが金持ちチームを打ち負か…

いろいろな名残

日本のマスコミは「occupy Wall st.」のデモを、「反格差社会デモ」と名付けてしまったが、あのデモの参加者や呼びかけ人がそう名乗ったのだろうか?日本語で? この国のマスコミは、客観的な事実と、その事実についての主観を区別することがで…

ゾンビとバブルの幽霊

ギリシャに続き、イタリアの国債が急落し、かねてからささやかれていた負の連鎖が現実になり始めたかのようだ。 ‘アテネからローマへ’、この二つの地名が持っているインパクトはバカにできない。あたかも、西洋文明そのものが、根っこから腐り始めているよう…

『カシタンカ・ねむい』、『東方綺譚』

先月読んだ本の話。カシタンカ・ねむい 他七篇 (岩波文庫)作者: チェーホフ,神西清出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/05/16メディア: 文庫 クリック: 14回この商品を含むブログ (25件) を見る 日本語でチェーホフを読むなら、神西清の翻訳で読むにかぎ…

「東京オアシス」 おもっきしネタバレ編

「東京オアシス」は、あちこちでひっどいこと書かれているんだけど、要するにこれは、人気シリーズが新しいテーマに取り組む困難さを物語っているだろう。 具体的に言えば、「水戸黄門」や「男はつらいよ」と同じで、フーテンの寅以外の役をやると、ファンが…

「エンディングノート」

「エンディングノート」というこの話題の映画については、観に行くべきかどうか迷っている人があるとしたら、私もその人とおそらく同じ理由で迷っていたが、神奈川新聞のレビューを読んで、まあ、観に行くことに決めたわけである。「東京オアシス」と同じ映…

松岡映丘

生誕130年 松岡映丘−日本の雅−やまと絵復興のトップランナー:練馬区公式ホームページ 十月三十日は松岡映丘を観に行った。 柳田国男の『故郷七十年』には、 ・・・映丘(てるお)という雅号は、本名の輝夫にちなみ、次兄の通泰がつけたものである。 古い文…

Occupy Wall St.カダフィを待ちつつ

カナダの69歳の人が、「ウォール街を占拠せよ」と呼びかけて、それが瞬く間に西欧全体に広がり、勢いを増しているといううわさ。 これは、すくなくとも先進国での情報社会のベースが、すでにマスコミではなく、インターネットに移行していることを示してい…

伊東深水、川合玉堂

昨晩、深夜に突然大前研一が原発事故調査結果を発表したので、朝がおそくなってしまった。 動画中、 「‘当時’首相補佐官の細野さんに・・・」 といった発言があったが、その当時、首相だった菅直人が、いわゆる‘脱原発’演説で大こけしたとき、大前研一はブロ…

大前研一x細野原発担当大臣 チームH2Oプロジェクト会見

大前研一氏「天災ではなく人災」 原発相に原発検証結果提出 :日本経済新聞 大前研一のプロジェクトチームによる、東日本大震災および福島第一原子力発電所事故に関するプレスリリース 資料・映像へのリンク