東京都が自前の送電網

東京都が電力供給事業 自前の送電網を無料提供  :日本経済新聞 東京都が電力供給事業 自前の送電網を無料提供  :日本経済新聞 東京都が電力供給事業 自前の送電網を無料提供  :日本経済新聞 このエントリーをはてなブックマークに追加
 送電網をひとつの電力会社が独占している弊害については、公正な競争が行われないために、自然エネルギーが普及しない、電気料金が高い、送電網のスマートグリッド化が遅れ、結果として、日本の電気製品全体が国際競争力を失う、などの問題を何度か指摘しておいた。
 まず前提として、送発電の分離がぜひとも必要であることに異論のある人は、経団連以外にはいないと思うが、田中角栄の作った政官財の癒着構造、電源三法のカネに群がる経産省とその天下り団体、族議員、業界団体の既得権益団体の抵抗で、福島の原発事故が終息のめどさえたたない今でさえ、これが遅々として進まない。
 しかし、少し視点をずらしてみると、スマート化さえされていない時代遅れの‘電信柱’をあえて自由化させるまでもなく、スマート化した送電網を新しく敷設することは、選択肢としてじゅうぶんに現実的。
 このブログでも、8月17日の記事に書いたことだが、東京ガスなど、日本の都市ガス会社は電力会社とは対照的に、マイコンメーターの普及など、すでにスマート化で世界に先んじている。
 これを考えると、既得権益を守るために、いつまでも送電網を手放そうとしない電力会社は無視して、ガスのネットワークと共同でエネルギー全体のスマートネットワーク化を進めることが、ベストミックスなのではないかということが、つまり、あの日書いたことだった。
 くわしくは、8月17日の記事を読んでもらいたいが、東京都がそれに先んじて、すでに8月4日にガス発電プロジェクトを立ち上げていたことを知ってびっくりしたものだった。
 そして、今日、東京都独自の送電網の整備に乗り出したという上のニュースに接した。
 東京都はまた、11月10日には、三菱地所の大手町、丸の内、有楽町地区でのスマートグリッド導入の支援を決めている。
 三菱地所の今回の取り組みは、六本木ヒルズで森ビルがやってるやつをモデルにするそうだ。
 メタボリズムの展覧会に行ったとき、その取り組みについての説明ボードもあった。六本木ヒルズは自家発電した電力の一部を東京電力に融通している。
 日経の記事によると、

・・・森ビルは東京ガスと共同出資で六本木エネルギーサービスを設立。ガスを使ったコージェネレーション(熱電併給)を導入しヒルズで使用している電気と熱を100%まかなっている。

 東京都は、この取り組みを支援することでノウハウを蓄積し、スマートグリッドを拡大していく予定らしい。

 都は災害に強い都市をめざし、主なオフィス街でスマートグリッドを進めるのに併せて、東京湾岸に天然ガスを利用した火力発電所を造り、公共交通や都立病院に供給することを検討している。

 パナソニック藤沢市でスマートシティの開発分譲を始めていることはすでに書いたが、柏市では三井不動産が同様の取り組みを開始している。
 こうした取り組みは、環境にやさしいというだけでなく、国際的な市場を視野に入れられる、非常に有望な成長戦略でもあるという点をかんがえれば、この流れはもはや止められないだろう。もし止めれば、競争から脱落するだけ。韓国はすでにスマートグリッドで世界シェアトップをとることを国を挙げての目標にしていることもすでに書いた。