東京天然ガス発電所プロジェクトチーム

 お盆前後の忙しさにとりまぎれてか、見落としていたのだけれど、猪瀬直樹東京都副知事が座長になって、
「東京天然ガス発電所プロジェクトチーム」
なるものが、先月8月2日に発足していた。
東京都、100万kWの天然ガス発電所建設めざす| nikkei BPnet 〈日経BPネット〉 東京都、100万kWの天然ガス発電所建設めざす| nikkei BPnet 〈日経BPネット〉
 わたしは、8月17日に「コージェネレーション先進国へ」という記事に、北米のいわゆる「シェールガス革命」にくわえ、日本の都市ガス会社が取り組んでいるスマートエネルギーネットワークや家庭用コージェネレーションシステムの先進性から、日本の将来のエネルギーにとって、電力会社よりむしろガス会社が中心的な役割を果たしていくべきではないか、また、自然エネルギーの不安定さを補助して、その普及にイニシアチブをとるのもガス会社なのではないか、といったことを書いたわけだったが、そういう‘ただの素人がブログに書くようなこと’を、それより2週間も早く実行に移す、猪瀬直樹と東京都の行動力には。久しぶりにたのもしい思いがした。実際には、これがあたりまえの政治の姿なのだと思うが。

 いま大事なことは、原発代替エネルギー確保に早く着手するというメッセージを、刻々と産業界に示していくことだ。都が100万キロワット級の発電所を造るから、企業は生き残れます、東京にいてくださいというメッセージである。現実の電力不足と産業空洞化の問題に対処するために、地産地消・分散型の発電所をスピーディに整備していく必要がある。

 ただ、ここでも問題になるのが、発送電の分離で、そのことは、猪瀬直樹ももちろん承知しいて以下のように書いているが、東京都の進めるプロジェクトとなれば、今までのPPS(特定規模電気事業者)とはちがい、発送電分離へむけての圧力になり得るのではないかと期待される。

 東電は独立系の発電所に対して、一方的に高い託送料を押しつけてきた。今回の原発事故をきっかけに、発電所と送電線を分離するということを政府は打ち出しているが、机上で抽象的に言っているだけで、本当に実現するかどうかわからない。

 実際にPTで天然ガス発電所建設の議論を始動させていくと、その動きのなかで、託送料の問題、地域独占の問題など具体的な解決策が見えてくる。「脱原発」と叫んでいるだけではだめで、具体的で実務的なプロジェクトを通してしか、問題は解決しないのである。

 また、東京電力の破綻処理をせず、被害に対して無制限に国が補償すると言う施策を採り続ける場合の問題点として、周辺諸外国からの巨額な賠償請求まで国が背負い込むことになる危険性を、岸博幸が指摘している。
野田政権は東電破綻処理を急げ――このままでは日本は中国やロシアからの巨額賠償請求の餌食になる |岸博幸のクリエイティブ国富論|ダイヤモンド・オンライン 野田政権は東電破綻処理を急げ――このままでは日本は中国やロシアからの巨額賠償請求の餌食になる |岸博幸のクリエイティブ国富論|ダイヤモンド・オンライン
 そして、ついに福島第一原発の作業員から急性白血病の死者を出したが、東京電力は、原発での作業と作業員の死に因果関係はないとしている。
福島第1原発作業員の白血病死、作業とは関係なし−東電 - Japan Real Time - jp.WSJ.com 福島第1原発作業員の白血病死、作業とは関係なし−東電 - Japan Real Time - jp.WSJ.com
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 この‘因果関係作戦’は、電力会社の常套手段らしく、関西電力富山湾を死の海に変えたときも同じレトリックを使っている。
黒部川の“黒い泥” 今年も32万m3排出 漁民が関西電力を提訴  / SAFETY JAPAN [すぐそこにある危機] / 日経BP社 黒部川の“黒い泥” 今年も32万m3排出 漁民が関西電力を提訴  / SAFETY JAPAN [すぐそこにある危機] / 日経BP社

 現場の作業員の白血病原発放射能の因果関係がないと主張する東京電力が、周辺住民がガンを発病したとき、そこに因果関係を認めるとはとても思えないがどうだろうか。