2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

昨日と一昨日のつづき

昨日紹介した吉田健一の『日本に就いて』は、すこしこじつけめいているかも知れないが、1974年刊だったことに符合を感じている、というのは、今、『滝山コミューン一九七四』という原武史の本を読んでいるところ。 日米冷戦とベトナム戦争のそのころが、…

『日本に就いて』

吉田健一の『日本に就いて』を読み終えた。1974年刊。 『聊斎志異』に、文章を書いた紙を焚いて、その匂いで文章のよし悪しを判断する盲の坊主が出てくる。面白い話で、偶にそういうのがあると、文章、或は言葉というものが今日ではひどく影が薄い存在に…

「希望の国」

最初に元も子もないことをいってしまうと、「ヒミズ」の方がよかったと思う。 「ヒミズ」は、古谷実の2001年を舞台に設定したコミックが原作にあって、その制作途中に2011年3月11日の東日本大震災が起こったために、園子温監督が急遽、舞台設定を…

「人生の特等席」

クリント・イーストウッドの最新作、‘TROUBLE WITH THE CURVE’に与えられた「人生の特等席」という邦題は、場合によってはツッコミの対象になりかねないが、野球という、日米が明治以来共有しているスポーツ、それとなによりクリント・イ…

「その夜の侍」

横浜ブルグで「その夜の侍」。 今年の日本映画はどうなってるんだろう?、この実り豊かさは。 映画館で「その夜の侍」の予告編を見て、‘これはこうなってああなってこうなるんでしょ?例のパターンね’と思ったあなた(じつはわたしだけれど)、大はずれです…

大山寺紅葉情報

休みが取れたので大山に紅葉狩りにでかけた。 小田急伊勢原駅北口からバスが出ている。300円。 平日なのになかなか混雑していたので、すこし贅沢してタクシーで行った。それでも2600円。行列のしっぽの人に「相乗りしませんか?」と誘ってみたが無視…

古道具その行き先 −坂田和實の40年−

きのうのつづきになってしまうのだけれど、一晩寝た翌朝、「カミハテ商店」を思い出したとき、怖さがワッと来た。 よく考えたら、わたしたち日本人は高橋恵子という女優になじみがあって、老け顔を作ってるとか、あえて方言をしゃべってるとかがわかるので、…

「カミハテ商店」

ちょっとローカルな話題から始めてしまう。この映画のタイトルに使われている‘カミハテ’という地名だけれど、京都に実在する。少なくとも私の知っているのは、この映画のような山陰の断崖ではなく京都市内。私が京都に住んでいた頃は‘上終町’というバス停が…

「黄金を抱いて翔べ」

映画「黄金を抱いて翔べ」を観て、そろそろ公式に‘いまんとこ日本映画の方がハリウッドより断然面白いっす’宣言をしてもよいのではないかと思った。 井筒和幸監督は、大阪を舞台にすると、水を獲たボラのよう。 この映画が刻むビート(というしかないと思う…

BENI COVERS 2 ブックマークから

橋下氏巡る記事「あってはならない過ち」 検証機関 :日本経済新聞はてなブックマーク - 橋下氏巡る記事「あってはならない過ち」 検証機関 :日本経済新聞 ↑この記事に ‘雑誌統括が「こんなことを書いていいと思っているのか」と掲載に反対’ という部分があ…

「のぼうの城」

社員旅行の帰りみち、ちょうど時間もよかったし、なにより厄落としの意味で、なにか映画をと、「のぼうの城」を観た。 この映画は原作がベストセラー、そのぶんハードルは高い。そういうわけで、あまり期待するのも気の毒だと思ったけど、野村萬斎の‘のぼう…

昇仙峡

この週末は社員旅行だった。事実上‘お仕事’。 いつもは参加しないのだけれど、今回は社長が是非にと推すので断り切れず。別に、いかない主義というわけでもないので。 しかし、社長推しで行ったにもかかわらず、事実上、社長の接待旅行だった。クルマは社員…

梶井照陰 写真展「HARBIN 2009-2012」

きのうのつづき。 横浜美術館に「はじまりは国芳」を訪ねたら、ぜひ、アートギャラリーで開催中の‘梶井照陰 写真展「HARBIN 2009-2012」’もおすすめしたい。11月18日までと期間が短いのが残念だが、入場は無料で写真撮影も許可されている。 梶井照陰とい…

はじまりは国芳

横浜美術館で開催中の「はじまりは国芳」。 ちなみに「はじまりは国芳」は、太田記念美術館の「月岡芳年」の半券を提示すると、1200円が1000円になる。 いまをときめく歌川国芳だが、この展覧会はサブタイトルに「江戸スピリットのゆくえ」とあるよ…

美術展6つ

週刊朝日が部落差別キャンペーンをやってくれたおかげで、先週の日曜の記事をスキップしてしまった。これにかぎらず、最近のマスコミをめぐる様々な出来事を思うと、かつては権力の監視をその役割として期待されていたマスコミだが、いまはそれ自体で、監視…

点鬼簿

桑名正博が死んだ。59歳。 大阪のお金持ちのボンだったことは知っていたけれど、桑名興業の‘七代目’というからお金持ちというより‘素封家’なんていう古い言葉のほうがしっくりくるのかもしれない。 お父さんが亡くなった後、傾きかけた家業を継いだまでは…