2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『土を喰らう十二ヵ月』 ネタバレあり

『土を喰らう十二ヵ月』を撮った中江裕司監督って人は変わりものみたいだ。水上勉のエッセイを映画にすること自体が、少しはユニークだが、それをさらに沢田研二主演。原作を読むと、その当時の水上勉は現在の沢田研二よりひと回り若い。だと、役所広司とか…

匿名の小市民として

映画『ハンナ・アーレント』はハンナの講義を聴き終えた友人が近寄ってきて、彼女を裏切り者と罵倒するシーンで終わったと思うが、そのシーンが印象的すぎてそう記憶しているだけかもしれない。 ホロコーストの責任者であったナチの要人たちが、「フツーの小…

『PIG/ピッグ』

奇しくも『ザ・メニュー』に続いて「伝説のシェフ」の物語。この映画はマイケル・サルノスキという人の長編映画監督デビュー作だそうだ。 同じニコラス・ケイジ主演でも園子温のハリウッドデビュー作『プリズナー・オブ・ゴーストランド』の悲惨さと比べると…

『ザ・メニュー』!!(勢いあまってネタバレかも)

昨日は早起きしたので箱根に出かけたのだけれど、そんなことより『ザ・メニュー』。ぶっ飛んでしまって、観終わった瞬間に誰かに話さずにいられない。 遅い回だったので入りは良くなかったが、スクリーンを出るや否や、前を歩いてた女の子2人が「最後のあの…

『やがて海へと届く』ネタバレ

昔は、観た映画、行った展覧会、備忘録のように書き留めていたが、最近は観たけど書き忘れるものも増えてきた。 『すずめの戸締まり』を観て思い出したのは、浜辺美波と岸井ゆきのの『やがて海へと届く』。6月に観たんだけれども、あれも東日本大震災を扱っ…

『オルガの翼』『すずめの戸締まり』

『オルガの翼』は、今の戦争につながるユーロ・マイダン革命の頃のウクライナを舞台にしている。2013年11月ウクライナ政府がEUとの連合協定交渉を停止した事に抗議する数十万の市民たちが広場に集まりはじめた。これに対してヤヌコーヴイッチ大統領は集会の…

岡本太郎展

岡本太郎という人は画家であり、造形作家であり、写真家であり、文章家でもあった。先月、東京都美術館で岡本太郎展を観た。12月28日までやってる。 太陽の塔のイメージのせいかもしれないが、岡本太郎は画家であるよりも造形作家の印象が鮮烈。 たとえばこ…

『花様年華』

ウォン・カーウァイの4Kレストアの『花様年華』を観た。 「キサス、キサス、キサス」を唄っているのはナット・キング・コールだそう。 セクシー、完璧、カメラアングルだけで全てを語る。結局、何も起こらないのがこんなにセクシーとは。 www.youtube.com廊…

大竹伸朗展

竹橋の東京国立近代美術館で「大竹伸朗展」が始まった。2006年に東京都現代美術館であった「大竹伸朗 全景」を見逃したのが悔いに残っているので、今回は早々に出かけた。 入口でいきなり「宇和島駅」のサインが迎えてくれた。 これだけで、東京国立近代美術…

『窓辺にて』ややネタバレ

つかこうへいが、ダスティン・ホフマン主演の『卒業』のラストについて、結婚式の教会から花嫁を奪われる花婿の気持ちにならずにいられない、みたいなことを書いていた。ダスティン・ホフマンの行為は今ならもちろん大炎上案件だろう。つかこうへいの定番ネ…

東京国立博物館創立150年記念 特別展 「国宝 東京国立博物館のすべて」

トーハクの国宝展、チケットがとりづらいので平日の午後になった。 「東京国立博物館のすべて」ではあるけど、それはタイトルであって、国宝を全部見られるはずもなかった。そりゃそうだ。例えば、尾形光琳の風神雷神図はあったが、その裏面の酒井抱一の夏秋…

ヤマザキマリの世界 展

山下達郎の肖像 この絵を観たくてヤマザキマリ展に出かけた。『SOFTLY』のジャケットに使われているこの絵は、山下達郎のポートレートとして、写真も含めて格段によいと思う。山下達郎さんの顔は世に言うイケメンの基準とは外れるのだけれど、これはヴェネツ…