映画

『シン・ウルトラマン』

初日に観る『シン・ウルトラマン』。 庵野秀明は『シン・エヴァンゲリオン』よりはるかに楽しんでる。たぶん、エヴァとウルトラマンとでは当然ながら庵野秀明のスタンスが違う。シンプルにウルトラマンのファンとして楽しんでいると見える。驚いたことに三木…

『クラム』

crumb2022.com 1994年のこの映画がなぜ急に公開されることになったか、とにかくすごく面白い。 画廊主の話によると、ロバート・クラムは現代のブリューゲルにして、 ピーテル・ブリューゲル《聖アントニウスの誘惑》現代のゴヤ、 我が子を食うサチュルヌスま…

ジャンフランコ・ロージ監督の『国境の夜想曲』

『海は燃えている』で、難民が続々と押し寄せるイタリア最南端のランペドゥーサ島を描いたジャンフランコ・ロージ監督が、シリア、イラク、レバノン、クルディスタンの国境の夜を淡々と写した。3年間をかけて80時間カメラを回した。3年間で80時間はけして長…

『香川1区』

大島新監督 『なぜ君は総理大臣になれないのか』の続編で、去年の総選挙、小川淳也の選挙区、香川1区の選挙戦をレポートした。 『なぜ君は総理大臣になれないのか』公開の翌年ということもあり、同じ選挙区で長年競っている平井卓也デジタル庁担当大臣の不適…

『牛久』

3月18日まであつぎのえいがかんkikiで『牛久』が公開中。www.ushikufilm.com 日本政府が現在進行形で行なっている国家犯罪の中継映像。 おぞましいのは、入管側が記録のために残している映像がいちばん暴力的であること。これなら公開してもいいかと入管が判…

『ダーク・ウォーターズ』

『ダーク・ウォーターズ』は、単にアメリカ映画だけでなく、アメリカ社会の良心と勇気を身に染みて思い知らされる、「傑作」などという言葉でさえ薄っぺらに感じられる、胸に響く映画だった。 『ダーク・ウォーターズ』は、デュポン社が40年間も隠蔽してきた…

『発酵する民』

この手のドキュメンタリー映画だと、途中で席を立つ人がいる。しかし、映画の冒頭の献辞に「発酵とは、微生物による分解現象のうち、特に人間に役立つものを言う。そうでないものを腐敗という。」とあった。つまり、映画は十分に自覚的に仕掛けてきている。…

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』

ウエス・アンダーソン監督の最新作は、雑誌文化へのオマージュでありレクイエムであり、そのパロディでもある。 紙の雑誌というものはどうやら滅びるらしいのだが、そんな終焉の時から振り返って考えてみると、日本からはついに世界中に読者を持つ雑誌は生ま…

『エッシャー通りの赤いポスト』

去年、ハリウッドデビューで話題になった園子温監督、ニコラス・ケイジ主演の映画『プリズナー・オブ・ゴーストランド』はひどかった。園子温監督はもう終わったのかと思った。しかし、水道橋博士のYouTubeで語っていたところによると、あの脚本は園子温監督…

『大怪獣のあとしまつ』

三木聡の映画は2007年の『転々』あたりからずっと観ている。 『転々』も見事だったんだけれども、なんといっても『インスタント沼』が素晴らしく、日本のコメディ映画史上唯一無二の傑作だと思う。三木聡作品はもはや三木聡というジャンルなのでそういう味わ…

『スパイダーマン ノーウェイホーム』ネタバレ

マーティン・スコセッシ監督が「マーベル作品は映画ではない」と発言して物議を醸したことがある。また、『アベンジャーズ』の「日本よ、これが映画だ」というコピーが大炎上したことがあったことを思うと、少なくとも「これが映画だ」はないだろうと思って…

濱口竜介と三島由紀夫、吉本隆明、江藤淳、村上春樹

濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』を観て、そして、彼の作品に対する世界中の熱狂を見て、改めて、書き言葉(テキスト)こそが言葉だと確信する。 言葉で何かを作ろうとすると、それがたとえ即興劇であったとしても、言葉は書き言葉になるしかない。こ…

『皮膚を売った男』

ケーン・デ・ボーウの演じる現代芸術家ジェフリー・ゴドフロワがカメラに向かって 「芸術は死んだと言われているが、現代ほど芸術がエキサイティングであった時はない。」 という。 「芸術が死んだ」という常識としつつ、それも含めてなお芸術がエキサイティ…

『偶然と想像』、『寝ても覚めても』

濱口竜介監督の演出が世界中を魅了しつつある感じ。 『ドライブ・マイ・カー』の主人公が披露した独特な演出方法は、宇多丸さんは濱口竜介監督自身の演出方法だと言ったが、濱口竜介監督自身はあれは私の演出方法ではないと答えている。 あれが彼の演出方法…

『SAYONARA AMERICA』

パンデミックは世界的オペラ 『SAYONARA AMERICA』は『NO SMOKING』に採録された細野晴臣のアメリカツアーのライブの再編集版といった面持ちなんだけれども、この2年で世間もこちらも変わってしまったせいか、熱量というかグルーブ感というかがまるで違って…

『ボストン市庁舎』

フレデリック・ワイズマン監督の『ボストン市庁舎』を観た。 上映時間4時間ごえという、この長尺の持つ意味は、今回の場合、今までの作品と違って、主人公がマーティン・ウォルシュ市長ひとりにしぼられてしまうおそれがあったからだとおもう。プロパガンダ…

2021年の映画をふりかえる

2021年の日本映画で個人的にベストだったのは、石井裕也監督の『茜色に焼かれる』。これは、宇多丸さんのラジオでも別枠で評せられていたので、敢えて取り上げるまでもないかもしれない。akaneiro-movie.com 今さら去年の映画を取り上げるのは石川梵監督の『…

『浅草キッド』

Netflixで配信している『浅草キッド』は、ラジオ案件なのかというくらい、ラジオで出くわすことが多かった。ラジオパーソナリティを務める芸人さんたちのビートたけしリスペクトの思いの丈がわかる。ビートたけしのオールナイトニッポンは彼らの原点でもある…

『明日のたりないふたり 特別版』

明日のたりないふたり 特別版 『明日のたりないふたり』はオリジナルの公開のときFANNYの配信で観ようとしたのだが、うまく視聴できなかった。 動画配信のプラットホームとしては、YouTube、DMM、Amazonプライム、Netflixは問題ないが、TVerあたりから問題が…

『草の響き』

『海炭市叙景』、『そこのみにて光り輝く』、『きみの鳥は歌える』、『オーバー・ザ・フェンス』に続いて、佐藤泰志原作5度目の映画化。佐藤泰志と函館がよほど映画監督たちの琴線をふるわせるのだろう。それともうひとつには、若くして自殺した彼の作品は…

『ジャズ・ロフト』

ユージン・スミスは従軍カメラマンとして参加した沖縄戦で、間近で炸裂した砲弾のために危うく顔を吹き飛ばされかけた。口が目の下あたりまで裂けていた。 指が動かせるようになった時、真っ先に撮った写真が《楽園への歩み》だった。日常のスナップに見える…

『TOVE』観ました

たぶん「ムーミン」の生みの親として知られているトーベ・ヤンソンがレズビアンなのは、公然の秘密どころか秘密でさえないと、少なくとも自分はそう思っていた。ただ、こういう知識の疎密さは偏りがあって当然で、美術館通いが趣味のくせに、『MINAMATA』を…

『東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート』

都営霞ヶ丘アパート 以下のグラフはこの夏のコロナ感染者数。 コロナ感染者数推移 東京オリンピックの会期が7.23〜8.8なんだけど、この感染者数の推移とほんとに何の関係もない?。 もちろん、何のエビデンスもない。オリンピックの会期に見事に増加したなあ…

『空白』ネタバレあり

『空白』の監督は、『ヒメアノ〜ル』の吉田恵輔。『ヒメアノ〜ル』のムロツヨシと佐津川愛美は最高。濱田岳、森田剛、ムロツヨシ、佐津川愛美の4人のバランスがすごくよくて名作だと思います。絶対見てほしい。 しかし、『愛しのアイリーン』になると、役者…

『リスペクト』

この映画でアレサ・フランクリンを演じているジェニファー・ハドソンが『ドリームガールズ』で鮮烈なデビューを果たしたのは2006年のことだそう。こういうことを言っても誰も得しないんだが、あの時は確かに主役のビヨンセを食っていた。記憶では、名前のク…

『くじらびと』オススメ

lastwhaler.com 石川梵監督の『くじらびと』は、100年に1本出会えるかどうかという名画なんだと思う。おそらくそれは石川梵監督自身がいちばんよくわかっているのだろう。そして、おそらくそれが伝わらないこともまたよく分かっていてそれが非常に悔しいだろ…

『沈黙のレジスタンス』 

ジェシー・アイゼンバーグがマルセル・マルソーを演じる。でも、パントマイムがそんなに上手くなかった。 それが多分この映画があんまりハネてないところなのかなと思うけど、そこをひとまず置いとくと、考えさせられることが多かった。実話だし。 ナチスの…

『由宇子の天秤』ネタバレあり

由宇子の天秤 主演は、「大豆田とわ子と三人の元夫」で、東京03の角田さんのお相手をしていた瀧内公美さん。テレビジャーナリストの役どころだけど、上司の川瀬陽太さんさえまだ契約社員だったから、立場としては不安定みたい。かたわら、父親の経営する学習…

『オアシス:ネブワース1996』

実は何を隠そう『オアシス:ネブワース1996』を観てたんだけど、個人的に(もちろん)ピンと来なかった。ネガティブではなかった。むしろポジティブだったけど、ロン・ハワードの『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK The Touring Years』とか、“ロック・アゲ…

『食の安全を守る人々』観ました。

エリック・ロメールはやっぱりいいわ。BGMがまったくないのもいいし。「六つの教訓話 デジタルリマスター版」なんだけど、ただ、1日に2本続けると印象が薄まる気がして『食の安全を守る人々』を見たんだけど、驚きました。愕然とした。 日本でまだラウンドア…