『コール・ジェーン -女性たちの秘密の電話-』

 『ソウルメイト』『ソウルメイト/七月と安生』『テルマ&ルイーズ 4K』となぜか女性たちの友情を描く映画を立て続けに観ることとなったが、この『コール・ジェーン -女性たちの秘密の電話-』もそのひとつ。しかもこれは実話に基づいている。
 監督・脚本は『キャロル』のシナリオを書いた人。今回が長編映画監督デビュー。
 『ソウルメイト』『ソウルメイト/七月と安生』は、うっかりすると「女性に友情は存在しない」という風なストーリーに仕立てられたかもしれない展開を、逆に、あの2人の友情の深さが心に残る映画になったのが新しかった。一人の男を奪い合う女同士のドロドロした争いみたいなありがちなストーリーをなぞりつつ、実は女同士の友情を描くって映画はありそうでなかった気がする。そこが新鮮だった。
 『テルマ&ルイーズ』は、最後にファンタジーに溶けていく感じなんだが(『ヴァニシングポイント』みたいに)、本作はもともと実話だし、まるでファンタジーみたいな話が現実に着地する。
 主人公が、堕胎を認められるかどうかの医師の会議に同席するシーンが印象的。
「堕胎しないで死ぬ確率は?」「50%です。」「じゃあ認められないな」みたいな。本人を目の前にですよ。
 以前、日本の大臣が「女性は産む機械」と発言したことがあった。あれは具体的にはこれを言ってるわけで、到底許されない。切り取られたとか、そういう問題ではないと思う。
 今、アメリカでは、ルース・ベイダー・ギンズバーグが亡くなって、女性の堕胎の自由が奪われそうな気配。
 それでも、結局、トランプが勝つってじゃないですか?。そもそもバイデンとトランプ以外に候補者がいないってのがよくわからない。
 この映画が作られたのはそういう時代背景があるのだろう。
 1960〜70年代のこの映画の方がむしろリアルで、目の前の現実の方が悪夢みたいってのはどういうことなんだろう。

call-jane.jp