夢枕獏さんのゴジラ

ああ、昨日書こうと思ったのに忘れてた。 夢枕獏さんが江戸時代に現れるゴジラを書いていた。 つうのは、現代を舞台にしたら、火器が先鋭すぎて、ゴジラを倒せない理由にリアリティがなさすぎる。ので、江戸湾から上陸したゴジラと平賀源内が対決する。 次回…

『アドルフに告ぐ』

『ヒトラーのための虐殺会議』を観た勢いで、手塚治虫の『アドルフに告ぐ』を読んだ。ヒトラーと同じアドルフという名前の2人の少年の生涯を描いたフィクション。 ちなみに今はアドルフという名前を我が子につけるドイツ人はひとりもいないらしい。『お名前…

『ザリガニの鳴くところ』

ザリガニの鳴くところ作者:ディーリア・オーエンズ早川書房Amazon 映画も公開されている。なんともそそられるタイトルだけれども、どうもアメリカのベストセラー小説の映画化だそうで、となると、映画が良いにせよ、たぶん原作は超えないだろうと思ったので…

『日本は「右傾化」したのか』

日本は「右傾化」したのか慶應義塾大学出版会Amazon こないだの小熊英二の日本記者クラブでの分析があまりに鋭かったので、これを買って読んでみた。 日本人一般が右傾化したといえるデータはほとんどないそうだ。ただ、自民党は右傾化したと言って間違いな…

小熊英二の完璧な分析

ほぼ絶望的なくらい完璧な分析。必見。2年前のインタビューだそうです。www.youtube.com日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学 (講談社現代新書)作者:小熊 英二講談社Amazon

「反キリスト者」 - ルサンチマンについて

ニーチェ全集〈14〉偶像の黄昏 反キリスト者 (ちくま学芸文庫)作者:フリードリッヒ ニーチェ筑摩書房Amazon 先週末はニーチェの「反キリスト者」を読んでいた。短いので読みやすいが、体系的に理論武装されてるわけではないので、断章的に取り上げて、悪意を…

吉田健一展

吉田健一展 神奈川近代文学館にて 横浜には吉田直展ではなく、どちらかというと神奈川近代文学館で開催されている吉田健一展が目当てだった。 吉田健一については文庫で手に入るくらいのものはほぼ読んだが、悪い癖としか言いようがない癖で、6編の長編小説…

濱口竜介と三島由紀夫、吉本隆明、江藤淳、村上春樹

濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』を観て、そして、彼の作品に対する世界中の熱狂を見て、改めて、書き言葉(テキスト)こそが言葉だと確信する。 言葉で何かを作ろうとすると、それがたとえ即興劇であったとしても、言葉は書き言葉になるしかない。こ…

『自意識とコメディの日々』

自意識とコメディの日々作者:オークラ太田出版Amazon 私がラジオにハマったのは、バナナマンのバナナムーンGOLDからで、そこでバナナマンのふたりにいじられながらいい味を出してるこのオークラという人を知った。 そのうちこの人が第三のバナナマンと言われ…

星野源の語る松尾スズキ、太田光の語る向田邦子

マシーン日記 悪霊作者:松尾 スズキ白水社Amazon 星野源のオールナイトニッポンに細野晴臣がゲストに来ていた。細野晴臣は映画『さよならアメリカ』が公開中なので、一時的に露出が増えているのだろう。鶴瓶さんとこのラジオでも話題になっていた。 しかし、…

貞明皇后に関する本2冊

大正の后 昭和への激動 (PHP文芸文庫)作者:植松 三十里PHP研究所Amazon孤高の国母 貞明皇后 知られざる「昭和天皇の母」 (産経NF文庫)作者:川瀬 弘至潮書房光人新社Amazon 以前から疑問に思っていたことでこのブログにも書いたことがあった、日本のリベラル…

『アメリカの影』

アメリカの影 (講談社文芸文庫)作者:加藤典洋講談社Amazon 『フィロソフィア・ヤポニカ』について書いているときに、江藤淳のことを思い出して、余計なことを書いてしまったのはなぜだったろうかと思い返すと、この加藤典洋の『アメリカの影』だった。 田邊…

『フィロソフィア・ヤポニカ』ぜひオススメ

フィロソフィア・ヤポニカ (講談社学術文庫)作者:中沢新一講談社Amazon 明治維新は日本の文化を大きく歪めた事件だったと思う。 仏教は、親鸞、道元の原典に帰ることで、復旧が可能だろうが、国家神道に上書きされてしまった神道は、その本来の豊かさを取り…

『闇の脳科学』オススメ

闇の脳科学 「完全な人間」をつくる (文春e-book)作者:ローン・フランク,仲野 徹・解説文藝春秋Amazon この本は、ロバート・ガルブレイス・ヒースという精神科医、神経科学者の忘れ去られた業績と伝記を、ローン・フランクというデンマークの女性が掘り起こ…

『ドライブ・マイ・カー』観ました

ドライブ・マイ・カー カンヌ映画祭で脚本賞を獲得した『ドライブ・マイ・カー』の同名の原作は、『女のいない男たち』という、村上春樹の短編集の巻頭をかざる小説だ。 初出は、文藝春秋2013年12月号で、当時、文藝春秋を買ったり買わなかったりしていた私…

『アースダイバー 神社編』『精霊の王』読みました

アースダイバー 神社編作者:中沢 新一講談社Amazon精霊の王作者:中沢 新一講談社Amazon 今の日本の総理大臣は平気でウソをつく。その源流は本居宣長という、明治維新の思想的バックボーンとなった人が、今でいうネトウヨ(『源氏物語』が読めるネトウヨ)で…

小林信彦の連載エッセーが終了

週刊文春 2021年7月8日号[雑誌]作者:伊集院静,恩田陸,林真理子,三木谷浩史,杉本昌隆,みうらじゅん,町山智浩,宮藤官九郎,能町みね子,貴志祐介,土屋賢二,柳家喬太郎,益田ミリ,東海林さだお,平松洋子,宇垣美里文藝春秋Amazon たまたま先週の木曜日休みを取った…

『民主主義という病い』

ゴーマニズム宣言SPECIAL 民主主義という病い (幻冬舎単行本)作者:小林よしのり幻冬舎Amazon 小林よしのりの『民主主義という病い』は、下にリンクしたYouTubeで、面白そうだったので読んでみた。現に面白かったのだけれども、下の動画を見ればわかるとおり…

『不寛容論』

不寛容論―アメリカが生んだ「共存」の哲学―(新潮選書)作者:森本あんり新潮社Amazon「あなたがたのさばくべき者は、内の人たちではないか。外の人たちは、神がさばくのである」(「コリント人への第一の手紙」五・一二)」—『不寛容論―アメリカが生んだ「共…

『マーダーボットダイアリー』

[まとめ買い] マーダーボット・ダイアリー作者:マーサ・ウェルズAmazon 第七回日本翻訳大賞を受賞した『マーダーボットダイアリー』を読んだ。 この主人公がどうやら女性(というのはそもそも性別がないとされているからおかしいんだけれども)らしいと、ほ…

『ウディ・アレン追放』

今週の週刊文春に「小林信彦プレゼンツ これが日本の喜劇人だ!」について小林信彦が書いていた。上映期間が終わるまで控えていたのだろう。 「「大冒険」(六五年)てのは、外国で「リオの男」を見てきた東宝の上の方の人の意見にのったものです。」 だそう…

『大奥』全19巻 読みました

このGWは垂れ込めてすごすほかないので、ちょうど都合がよいってこともあり、よしながふみの『大奥』全19巻を一気読みしました。大奥【公式ビジュアルファンブック 大奥-没日後録-付き特装版】 19 (ヤングアニマルコミックス)作者:よしながふみ発売日: 2…

『漱石先生ぞな、もし』

漱石先生ぞな、もし (文春文庫)作者:半藤 一利文藝春秋Amazon 週刊文春の小林信彦のコラム、半藤一利の『日本のいちばん長い日』と『ノモンハンの夏』を読んだと書いてあった。辻政信についてはさすがに小林信彦さんも筆舌につくしがたいようだった。関東軍…

『人新世の「資本論」』読みました

人新世の「資本論」 (集英社新書)作者:斎藤幸平発売日: 2020/10/16メディア: Kindle版NHK 100分 de 名著 カール・マルクス『資本論』 2021年 1月 [雑誌] (NHKテキスト)発売日: 2020/12/25メディア: Kindle版家族と社会が壊れるとき (NHK出版新…

『スクリーンが待っている』

スクリーンが待っている作者:西川美和発売日: 2021/01/15メディア: Kindle版 西川美和監督が『すばらしき世界』を撮った顛末。 実は、八千草薫さんもキャスティングしていたというのが驚きだった。 役所広司が泣くシーンがあるのだけれども、たしかにあの前…

「ははばなれ」

春、死なん作者:紗倉 まな発売日: 2020/02/27メディア: 単行本 紗倉まなの『春、死なん』にカップリングされている「ははばなれ」も読んだ。 それで思い出したけど、これって、アリス・マンローとか、グレイス・ペイリーとか、ルシア・ベルリンとかそういう…

『春、死なん』読みました

春、死なん作者:紗倉まな発売日: 2020/02/26メディア: Kindle版 最近、radikoばっか聴いてて、われながらよくないと。 東京FMで秋元康が始めた生放送のトークショーで、田中慎弥と紗倉まなが互いの自作本について話していた。 それで、紗倉まなの方を読んで…

『聖断』

聖断天皇と鈴木貫太郎 (文春文庫)作者:半藤 一利発売日: 2012/09/20メディア: Kindle版 半藤一利さんが亡くなったと報じる新聞記事にこの本について書いてあったので。 『日本のいちばん長い日』は2度映画化された、半藤一利さんのもっとも知られた仕事だと…

『記憶の技法』

池田千尋監督の『記憶の技法』の前半はちょっと危なっかしい。後半に加速するが、前半は大丈夫かなと思った。 男女高校生ふたりのバディー・ムービーってところなんだが、そのバディーの成立過程にかなり苦労したみたい。自分の過去の記憶を突き止めようとす…

『ゲンロン戦記 - 知の観光客を作る』

ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる (中公新書ラクレ, 709)作者:東 浩紀発売日: 2020/12/08メディア: 新書 今年のお正月は外に出られないので本を読むのですが、この本は、東浩紀の「ゲンロン」をめぐる10年のもがき方が実に面白く、ポスト・コロナはこっち…