重森三玲、夜咄の茶

knockeye2011-12-18

 ワタリウム美術館重森三玲の展覧会。

 重森三玲の展覧会といっても、どうするのだろうとは、誰もが思うところではないか。

 会場内に東福寺本坊の庭園《北斗七星の庭》と《小市松の庭》の原寸模型が出現します。

とかサイトには書いているのだけれど、コルテン鋼を敷き詰めて、田窪恭治の林檎の礼拝堂を再現していた東京都現代美術館と違い、こちらは狭いし。
 でも、なんとか形にしてしまうところがえらい。
 たぶん、美術館のスタッフが、全国の重森三玲の庭を訪ねて、映像に納めてきたのだろう。撮り下ろしのハイヴィジョン映像。
 とくに、<小河邸庭園>はすごいなと思った。
 庭師もすごいけど、それを造らせる施主の方も、物狂おしい。
 重森三玲の庭は、大正モダニズムといっていいのだろう。重森三玲の場合、そこに‘茶’が絡んでくるのが面白い。
 明治維新でいったんご破算になった日本の文化がもう一度爛熟し始める。と、そこに‘茶’が絡んでくる。その感じがとりあえず面白い。
 ショップにはちゃっかり‘茶ガール・・・’云々の本が置いてあったりした。
 そのあと根津美術館へ。
 「夜咄の茶」として、絵唐津の塩笥を火入れにしたもの、利休瀬戸茶入 銘 一夜、赤楽茶碗 銘 冬野、丸壺茶入 銘 相坂などがあった。
 庭の紅葉はさすがにもう終わっていたけれど、落ち葉の散り敷いた冬ざれた風情も悪くない。

 美術館を出る頃にはすでに暮れていて、街路樹がライトアップされた表参道が華やいでいた。