2013-01-01から1年間の記事一覧

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年作者: 村上春樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/04/12メディア: ハードカバー クリック: 3,074回この商品を含むブログ (334件) を見る 村上春樹ひさしぶりか、でもないか、こないだ、小澤征爾との対談を読ん…

「R100」

何かと話題の「R100」を観てきた。 奇しくも、ことしの4月に、レオス・カラックスの「ホーリー・モーターズ」という映画を観ている間ずっと、松本人志のことが思い出されてならなかった。松本人志ならもっとうまくやれるのに、と思って。 ・・・つまり…

「凶悪」

「凶悪」を観た。レイトショーで。レイトショーでしかやってなかったので。ほんとは連休中に観るつもりだったのだけれど、休日のレイトショーはつらいわけ。というのは、昼間にあちこち出歩いた後、その上さらにレイトショーは、体力の限界。それをいうと、…

昨日の付け足し

昨日、書いた後で自分のブログを検索してみたら、‘手をつないで走る徒競走’について書いたのは、2010年だった。そんなにむかしでもなかった。 先日、国際教養大学の中嶋嶺雄と村上龍の対談を聞き書きした(「やっぱり教育は立て直さなきゃと思う」)。 そ…

飼い犬かよ

クーリエ・ジャポンにあった‘「競争」も「平等」も大嫌いな不思議な日本人’という記事はショックだった。 そもそも、日本は格差が小さいのか大きいのかというと、発展途上国にくらべれば、格段に格差が小さいのは当然としても、まず、ジニ係数でいえば先進国…

『百年の孤独』『命毛』『ぼくがいま、死について思うこと』

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)作者: ガブリエルガルシア=マルケス,Gabriel Garc´ia M´arquez,鼓直出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/12/01メディア: 単行本購入: 25人 クリック: 269回この商品を含むブログ (278件) を見る国芳一門浮世絵草紙 5 …

Twitterのお話

村上隆がTwitterでえらく‘ディすられ’ている、について、いまから書いてみようとしているのだけれど、ただ、大前提として、そもそも、そんなにバッシングがひどいのかどうかだけれど、わたくしおもうに、Twitterに限らず、あるいは、インター…

TOKYO 1970 by Japanese Photographers 9

「日本の巨匠たちがとらえた1970年代の東京:『TOKYO 1970 by Japanese Photographers 9』」という写真展。銀座のアルマーニ/銀座タワーという、私なんかにはちょっと気後れがする建物なんだけど、まあ、観にいってきた。 アルマーニと渡辺克巳の「新宿群盗…

「ランナウェイ/逃亡者」

ロバート・レッドフォード監督・主演「ランナウェイ/逃亡者」をみてきました。この映画はたぶんそんなに話題になっていない映画と思うので、臆面もなくいち推しさせていただきたい。 最近、どちらかというと裏方にまわっている感があるロバート・レッドフォ…

「そして父になる」

「そして父になる」をスティーブン・スピルバーグがハリウッドでリメークしようとしているらしいけれど、とても無理だと思った。 というより、これをリメークすることにどんな意味があるんだろう。このまま全米で公開すればそれでいいじゃないかと思うのだけ…

官僚支配ということ

複数の試算が、消費税を8%どころか16%あげたところで、財政健全化に役立たないと結論しているにもかかわらず、結局、消費税率の引き上げが決定されてしまう、その意味は、租税は社会の姿を写す鏡なのだとすれば、明治以来、この国を動かしている原理が…

アノニマス

レイシストとは、自己を相対化できない人だろう。 我が国は美しい、我が民族は優秀、我が宗教は唯一,と信じているだけでは誰もレイシストとはいわれない。問題は、でも、それは「自分の考え」にすぎなくて、他人には他人の考え方があるだろうと、レイシスト…

『恋する原発』

恋する原発作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/11/18メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 14回この商品を含むブログ (39件) を見る 『恋する原発』を,いまごろ、読んだ。 でも、文学なんだなっていう、あたりまえか。マスはかけませんわ…

「謝罪の王様」

日曜日は「謝罪の王様」を観にいった。「中学生円山」を見逃した悔いがちょっと残ってて、「そして父になる」は後回し。 井上真央、岡田将生、高橋克美、松雪泰子が絡む前半部分は快調。だけど、後半はだれた。 というのは、マンタン国っていう架空の外国が…

厭戦ムード、遮水壁

今月の14日の記事に、シリアへの空爆が回避されてよかったね,と書いたわけ。よかったでしょっつの。それを「敗北だ」とかいうやつがいるわけ。そういう大国のメンツみたいののために空爆が行われたとしたら、それでどれくらいの市民が犠牲になるんですか…

「共喰い」

映画「共喰い」を観てきた。監督が「サッド・ヴァケーション」の青山真治、脚本は「赫い髪の女」の荒井晴彦というのをうかつに見逃していた(それを早く言ってよ)。封切りからしばらく経ってて、みなとみらいの109シネマでは今週が最終だった。あぶない…

仙がいと禅の世界

先週末、出光美術館に仙がい(崖の山がない字)の絵を観にいった。 頭の中で仙がいと白隠がいっしょくたになっていたことがあって、ときどきいいけど、ときどき臭いなと思っていたのが、気が付いてみると、いいと思っていたのは仙がい、臭いと思っていたのは…

「暗殺者たち」

暗殺者たち作者: 黒川創出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/05/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 黒川創という人は、京都の人。これは『かもめの日』という小説を読んでいたときに、‘これは京都だ’とわかった。あのかもめはゆりかもめ…

北大路魯山人展

茅ヶ崎美術館に,北大路魯山人の展覧会「魯山人の宇宙」を観にでかけた。 この美術館は、JR茅ヶ崎駅から、サザンビーチに向かって歩いて行くちょうど中間くらいにある、高砂緑地という,元は川上音二郎の別荘だった庭園に隣して建てられていて、茅ヶ崎駅か…

『渡辺崋山』のつづき

ドナルド・キーンは「日本の友人たちに渡辺崋山について本を書くつもりだと言ったら、誰も意外な顔をしなかった。」とこの本を書き始めている。しかしどうなんだろう。現時点で、私は若者ではないのはもちろん、若者のアニキ的世代ですらないはずだが、渡辺…

みのもんたと『渡辺崋山』についてちょっと

渡辺崋山作者: ドナルドキーン,Donald Keene,角地幸男出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/03/01メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (15件) を見る 一週間があっという間に過ぎてしまって、いまほんとは19日、日付変わって20日。後か…

「私が愛した大統領」

14日。TOHOシネマズデー。「ウルヴァリン」は混んでるに違いないしなと、つらつら見ると、こないだ小林信彦が紹介していた「私が愛した大統領」がラインアップされているので、これを見にでかけた。BunkamuraとTOHOシネマズの両方で封切…

日中韓100年戦争

ちょっと笑っているのだが、今月の文藝春秋の大見出しは「日中韓百年戦争」で、座談会ではあるけれど、そのなかで、従軍慰安婦の強制連行の証拠はないと書いてある。 それから、週刊ポストの今週号は、ソウル大学の名誉教授の証言を掲載して、「慰安婦強制連…

琳派・若冲と花鳥風月

もうひとつ書き漏らしたことでどうしても書いておきたいことは、先月末から千葉市美術館で開催されている所蔵品展、「琳派・若冲と花鳥風月」に、曾我蕭白の「虎渓三笑図」が展示されている。千葉市美術館の所蔵だったわけ。そういえば、「蕭白ショック」と…

シリアの化学兵器を国際管理

おもにスペースの都合でここに書きますけれど、いまほんとは14日、速報では、シリアの化学兵器を国際管理下におくことで、米ロの外相が同意したそうです。 これで、シリアへのアメリカの軍事介入はひとまず避けられたとみてよいようで、なにはともあれよか…

『ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」』

このところ朝晩が涼しくなって,睡眠時間がのびがち。結果として,書こうと思ったことを書き漏らす、だけでなく、何を書き漏らしたかも忘れる日々なのだけれど、きのう、おととい、キリスト教とキノコ雲について書いたおかげで、たぶん、先月の週刊文春に,…

「サイド・エフェクト」「イノセント・ガーデン」

先週末、「ジンジャーの朝」のほかに観た二つの映画は、「サイド・エフェクト」と「イノセント・ガーデン」。 ひどいってことはないけど、「ジンジャーの朝」にくらべてよくわかるのは、主人公のキャラクターが、プロットを前に進めていくために、こじつけら…

「ジンジャーの朝」

この週末、3本の映画を観たが、これがダントツ。すばらしい。ここ数年のイギリス映画のいきおいはすごい。できれば邦題も原題の「ジンジャー&ローザ」のままにしておいてほしかった(ローザの立場あらへんがな)。 映画はヒロシマのキノコ雲で始まる。その…

『こころ』で読みなおす漱石文学

「こころ」で読みなおす漱石文学 大人になれなかった先生 (朝日文庫)作者: 石原千秋出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2013/06/07メディア: 文庫この商品を含むブログ (9件) を見る 石原千秋というこの著者が、文藝春秋に書いていた、村上春樹の『ノルウ…

安倍首相ブエノスアイレスへ

明治以降、日本が抱えている政治の課題でもっとも根深く致命的なものは官僚主義だ。太平洋戦争がその最悪の災厄だが、直近の問題は、財政規律の崩壊と原発事故である。なので、こころざしのある政治家ならば、脱原発の立場に立つべきだ。 安倍首相がIOC総…