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最近、はてなブックマークというサービスを使い始めた。
本を読んでいて気になるページに付箋を貼る感覚で使っている。

菅政権の看板は、「第3の道」──増税による経済成長である。公共事業による「第1の道」、小泉構造改革の「第2の道」とは何が違うか。政府主導の「新成長戦略」は時代錯誤か。最先端を行く経済学者たちが、“カンノミクス”を斬る。

先月、このブログでも‘第三の道は、たぶんウソだろう’と書いた。
経済の専門的な知識がなくても、すくなくとも、ここ1〜2年くらいに、菅直人が言ってきた事を思い出すと、話がおかしいとすぐに気付く。
自民党では本当の改革はできない’
というのが、菅直人小泉純一郎に対する批判だった。
これを‘第三の道理論’に言い換えると、
「本当の第二の道は民主党だ」
といっていたことになる。
ところが、自分が首相になったとたん、突然‘第三の道’ということを言い出した。
これを小泉政権当時のこの人の論法で言い換えてみると
民主党こそ、本当の改革はできませんでした」
といっているようにしか聞こえない。
私が、第三の道はうそだろうと書いたのは、そういう意味である。
要するに、改革を後戻りさせた言い訳にすぎない。
その上で、国家戦略室という視点から、菅直人政権交代劇を眺めてみると見えてくるものがある。
田中秀征の以下の記事によると、民主党の昨年の総選挙のマニフェストは、
「首相直属の国家戦略局を設置し、新時代の国家ビジョンをつくり、政治主導で予算の骨格を策定する」
としていた。

この段階では、(国家戦略局は)経済・財政の司令塔であるばかりでなく、外交戦略を含む政治主導体制の主軸となるはずであった。
(略)

 ところが、実際には、(国家戦略局設置の)法案は用意されていなかったのである。信じられないことであった。

 これで来年度予算は、自民党政権と同じように財務省主導で編成されることになった。むしろ、経済財政諮問会議が大きな役割を果たした小泉純一郎政権の方がはるかに政治主導であったではないか。

経済財政諮問会議は、橋本龍太郎が、財務官僚の抵抗にあいながら、政治主導を目指して設置したものだ。
普天間基地返還も、橋本龍太郎が日米トップ会談で政治決着させたものだし、最近、私の中では、橋本龍太郎という人の株はだいぶ上がっている。
小泉純一郎が力を発揮できたのも、そういう先達の礎があったからこそだといえる。

小泉時代経済財政諮問会議が) 政治主導を実現できた理由として以下の3つの点が挙げられます。

・ 総理が議長を務め、官僚の横やり抜きで主要閣僚と議論を行い、トップダウンでの意思決定を行なった。

・ 委員の民間有識者が正論を主張することで、政治家だけでは困難な、官僚の小細工や説明を論破し、族議員既得権益擁護を否定することができた。

・ 議論の内容を公開することで、官僚や族議員の小細工や横暴を牽制できた。

 そもそも今までの国家戦略室も、これらの条件をまったく満たしていませんでした。政治主導の実現という取り組みは既に失格点だったのです。新たな組織に司令塔の役割が移っても、おそらくそれは変わらないでしょう。

森喜朗内閣支持率9パーセントという驚異的な数字をたたきだした、史上にまれな暗君だったが、当時、森派の領袖として、小泉純一郎は最後まで森喜朗を支えた。
一方で、菅直人はどうだろう。鳩山政権のもとで汗を流したといえるだろうか。私にはむしろ、あえて見殺しにしたように見える。
すでに見てきたように、経済財政諮問会議は、官僚との戦いの主戦場であるわけだから、それをあえて廃止して創設した国家戦略室は、脱官僚をめざす鳩山内閣の肝となるはずだった。
だからこそ鳩山由紀夫は、菅直人を起用したはずなのだ。
ところが、周知のごとく、菅直人は石のように座して動かなかった。なぜか。
時系列に事実を羅列するとこうなる。

政権交代

経済財政諮問会議廃止

国家戦略室設置、菅直人がポストに付く

菅直人動かず

菅直人財務相就任

鳩山小沢ダブル辞任

菅直人首相誕生

消費税増税発言

国家戦略局事実上廃止

言うまでもなく、経済財政諮問会議が廃止されて、財務官僚は喜んでいる。
藤井前財務大臣の「予算編成権は財務省にある」発言から推しても、財務省がこの政権交代に、何を期待していたかは簡単に見透かせる。そして、今までのところ、菅直人はその期待にこたえているように見える。
このようにして国家戦略室に視点をおいて菅直人を眺めてみると、この政権に政治主導を期待することは到底できそうにない。
政治が指導力を失うと、官僚は暴走する。

 振興銀行に経営上いくつかの問題があったことは間違いない。だが一連の報道を通じて強い違和感を覚えることがある。それは木村剛元会長の報道のされ方だ。
(略)
 いつものことだが、この手の報道は常軌を逸した一律、一方的な報道になる。郵便料金不正事件で起訴された厚生労働省村木厚子元局長は完全な犯罪者扱いの報道をされた。現在進行中の裁判では不正行為が村木元局長の指示だったと供述した元部下が、自白は検事の強制によるものであるとして、村木元局長の関与を全否定している。決して同じ構図として扱うことはできないが、いずれも報道があまりに一方的に過ぎると思うのだ。

この事件はすこしタイミングがよすぎる。
財務省が予算編成から政治家を締め出すことに成功したタイミングにあわせて、

日本銀行に勤務していた90年代、日本の金融界で誰よりもバブル崩壊後の不良債権問題処理に力を注ぎ、小泉政権誕生後は不良債権完全処理へむけて精力を傾注した人物

が、メールを削除した疑いで逮捕される。アウトも狙えるナイスな牽制球だ。
こうして財務省の走狗と成り果てた民主党だが、そうであるかぎり、九月の代表選で菅直人が勝てる見込みはまずなさそうに見える。
もう、用済みだもん。