ストの夜

糸井重里の意見。

プロ野球のこと、ついつい書きたくなってしまって、いざ書きはじめると、混乱してきて、やっぱりやめちゃったりしています。でも、この問題、ひとつだけハッキリ言えることがある。球団側が、いちばん最初に発表したことが、彼らのいちばんしたいことだった、ということです。いいの悪いのを別にしたとしても、そういうことでしょう。ジャマが入らなければ、そうしていた、ということ。その後、「おっと、マズイぞ」というムードになって、しかたなく、妥協ラインを提示しはじめているということですよね。選手にもファンにも問いかけることなく、いちばんしたいことができる、と考えていた。そういうことが、あらかじめバレちゃっているところで、いまやっている交渉が進行しているんですよね。「世論」が、球団経営陣に対して厳しいのは、そういう背景があるからなのでしょうね。ここまでは、ぼくにも言えることのように思います。わかることだけ言っていく、というのも、なかなか簡単なことじゃないです。わかったつもりに、ついつい、なっちまうものですから。


「野分の夜半こそ楽しけれ」という伊東静雄の詩がある。あの人出身は長崎なので、台風には悩まされもしただろうと思うけど、嵐というのは、原始の部分に訴えかけるものがあるらしく、現実の問題を忘れて血が騒いでしまう。


ストっていうのもそれに似たところがある。何となくお祭り系のわくわく感があったりして「やれやれ!」とか思っちゃう。中学生の頃、阪急電車がストをすると、学校が休みになった。いつもは通れない線路の上を友達と歩いたりしたものだった。

とか、そういう秘やかな楽しみはひとまずおいといて、今回のプロ野球のストだけど、上記糸井重里さんのナニにもあるように、正直言って、「先にネタばれしてる」観がある。

その感じを前提に交渉しているものだから、なんとなくぼやーっとしてまう気がする。私、もしかしたら、原理主義者なのだろうか?まずは、経営者サイドに経緯を説明させるべきだと思ってしまう。

つまり、最初に「10球団1リーグ制」の密約めいたものがあったのかどうか?もしあったとしたら、かなりな背信行為じゃないだろうか?

逆に、そういう青写真がなかったとしたら、1チームあぶれて運営ができなくなるのに、合併に踏み切ったことになる。「新チームの審査」を云々しているが、その前に、これって経営の放棄じゃないのか?っていうか、経営の放棄なのよ。


この点が決定的な矛盾に見えるのだけど、どうしてそこをつかないのだろう?それにしても、古田選手には頭が下がる。交渉して、試合して、ホームラン打って、交渉して。球団の経営者が、選手にこういう事をさせて平気でいること自体に腹が立つ。


近鉄オリックスの経営陣は球団がひとつなくなるに関して、何の責任もないと、本気で考えているのだろうか?経営できないなら、やめて出て行け。強かったブレーブスを返せ。ブレーブスは、人気がなかったなぁ。山田久志福本豊などなどスター性のある名選手をずらりと並べていたのに、どうしてああ人気がなかったのか、今でも分からない。正直言って西宮という本拠地が悪かったと思うな。甲子園の目と鼻の先では、いかにも分が悪かった。