なみらごい

クラスノヤルスクでジェベル200のクランクシャフトがやられて、計画が大きくずれ込んでしまったため、サンクトペテルブルグへ緯度を上げていく峠越えはひどく寒くなった。
前にも書いたけれど、そのとき、真っ直ぐな道をひた走りながら、なぜか八代亜紀の「なみだ恋」が頭の中で連続再生していた。こんな歌詞である。
 よるの新宿うらどおり
 肩を寄せ合うとおり雨
 だれをうらんでぬれるのか
 逢えば切ないわかれがつらい
 忍びあう恋なみだ恋
みごとなほど何の意味もない。
でも、ら行の音がいっぱいあって、八代亜紀の巻き舌とこぶしが、ともすれば真っ白になってしまいそうな意識をたたき続けてくれる気がした。彼女が昔、長距離トラックの運転手たちに絶大な人気を誇っていたのが判った気がした。
そんなことを思い出したのは、このところまたときどき頭の中に「なみだ恋」が流れいる。
最近また残業が増え始めているが、去年のリストラ騒ぎを思い出すと、さすがに世の無常を感じて、仕事のモチベーションはあがらない。そのせいか、頭の芯がずっと疲れているような気がする。