「アニマル・キングダム」

knockeye2012-01-29

映画『アニマル・キングダム』公式サイト 映画『アニマル・キングダム』公式サイト 映画『アニマル・キングダム』公式サイト このエントリーをはてなブックマークに追加
 昨日の「ヒミズ」は虚構。「アニマル・キングダム」は、実在する家族をもとに描いている。にもかかわらず「アニマル・キングダム」のほうが、まるで虚構のように(もちろんどちらも虚構なのだけれど)感じられる。
 それは、「アニマル・キングダム」の主人公の少年、ジョシュアが、‘普通’であることを放棄してしまうのに対して、「ヒミズ」の住田祐一が、実在するかどうかもしれない‘普通’との接点を、ぎりぎりまで模索し続けるからだろう。
 「瞳は静かに」、「ヒミズ」、「アニマル・キングダム」と、少年を主人公にした映画が、それぞれ文化が異なる国で作られ、傑作をものとしていることは、偶然と言えないかもしれない。
 傲岸不遜に我が世の春を謳歌してきた‘普通’の帝国が崩壊しつつある。「ヒミズ」の主人公が切ないのは、‘普通’と差し違えて、再生を図ろうとしているからなのだ。