
- 作者: 矢作俊彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/06/20
- メディア: 単行本
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水谷豊は、杉下右京もいいけれど、なんといっても「アキラ」なのである。
もちろん死んだアキラは生き返らない。木暮修も公園にブルーシートを張って暮らすホームレスだ。
野垂れ死には、ダンディズムの王道かもしれない。その意味では、この設定を修に与えたのは、作者の深情けのなせる業であろう。
ショーケンと水谷豊が共演したあの伝説のドラマの、ディテールについては、しかし私はもう、うろ覚えだ。さすがに、岸田今日子と岸田森については憶えている。それに健太君についても。
ただ、それ以外の脇を固めた人たちについてはもう思い出せない。更にいえば、画面に登場したはずの新宿の街、クルマ、ファッション、風俗、それらのことも多くは忘れてしまっている。
それでも、イッキ読みしてしまったのだから、いわんや、コアなファンに於いてをや。わたしよりもっと多くの名シーンを思い出せる人なら、感涙ものであることだろう。
変容し続ける街と、失われた時代へのオマージュか。何しろ、あのドラマは、街と時代に愛された物語だったはずだから。