百年に一度

佐藤優の「国家の罠」で私たちは「国策捜査」というものの存在をすでに知ってしまっている。もし、理不尽な逮捕拘留に512日間も耐え抜いた、佐藤優のような稀有の存在がなければ、私たちはいまだに、検察に対する根拠のない信頼を抱き続けていただろう。
国会議員には不逮捕特権がある。wikipediaによると

このような不逮捕特権があるのは、官憲による不当な逮捕、勾留によって議員活動が制限されるのを防止するためである(明治の頃は、反体制派の議員を微罪に託けて逮捕する事が度々あったという)。

また、例えばある法案に賛成(反対)する議員を何か理由をつけて逮捕、勾留させ表決に参加させないことで賛成(反対)投票の絶対数を意図的に少なくするという、適切な民主主義が反映されない票決を防止する目的もある。

ということ。
定額給付金関連法案の採決を明日に控えているという日に、民主党の小沢代表の公設第一秘書が逮捕された。
公設第一秘書には不逮捕特権はないが、その逮捕には「適切な民主主義が反映されない」怖れはないだろうか。その逮捕は、あさってかそれとも一週間前ではいけなかったのだろうか。
4年間で2100万円というその寄付が、合法か違法かは何も言うつもりはないが、もし、それが違法だという結果になったとしても、小沢代表には図太く居座り続けてもらいたいと、個人的には思っている。
菅直人が年金を一か月分未納だったと批判されて、(しかも、あとで調べ直した結果ちゃんと収めていたことが分かった)党の代表を辞めてお遍路に出たときは、私は心底がっかりした。国民が菅直人に求めていることは、年金を払うことではない。ましてや、お遍路に出ることでもない。
ぶっちゃけた話、都内に一戸建てが買えるかどうか程度の寄付が、合法だろうが違法だろうがどうでもいい。敵は前にも後ろにもいる。味方のために勝ってもらいたい。そのために戦ってもらいたい。手を汚すことを怖れてもらっては困る。場合によっては名を汚すことさえあるはずなのだ。
小泉純一郎は、勤務実態のない厚生年金加入問題を追及されたとき「人生いろいろ、会社もいろいろ・・・」でやり過ごしてしまった。マスコミには叩かれたが、あんなものはあれでいいに決まっている。大きな絵を描いてもらいたいのだ。
現状、国民からの支持率が10パーセント程度しかない総理大臣が、衆議院の三分の二の票を、党議拘束で自由に出来る異常事態が続いている。
マスコミは麻生太郎定額給付金を受け取ると訂正したとかで、「発言がぶれた」と批判しているが問題はそんなことではない。
現在の衆議院の三分の二を占めている議席は、いわゆる郵政選挙で、「改革を推進しろ」という民意を国民が託した議席なのである。
麻生太郎が今やっていることすべては完全な民意の蹂躙であり、民主主義の破壊である。
もし、いわゆる小泉改革路線に批判があり、自分自身の政策路線があるならば、それは総裁選のときにかかげるべきであり、国民に示して民意を問わなければならない。
それをしないまま、「いや実は反対でした」。
官僚の天下りについては、渡辺喜美が辞めて、閣僚にせっつかれて、しぶしぶ動き出す。
今、百年に一度の経済危機といわれているが、私には百年に一度の政治危機であるとしか思えない。
私としてはもし内閣不信任案が出された場合、与党の議員もためらわず賛成してもらいたい。この政治危機を打開するにはそれしかないと思う。