定期昇給凍結

’10年の春闘について、経団連

勤続年数に応じ毎年給料を自動的に上げる「定期昇給(定昇)」凍結も議論する姿勢を表明

http://mainichi.jp/select/biz/news/20100120ddm008020008000c.html

した。

自動車総連の西原浩一郎会長は「賃金カーブ維持は労働者の生活設計のベース。そこに踏み込めば、健全な労使関係の前提が崩れる」と反発。定昇凍結が個人消費を一段と圧迫し、デフレを加速させる悪循環も指摘し

たそうだ。
ただ、定期昇給の凍結は経営者側にとってもパンドラの匣を開けることになると思う。
高度成長が終わって久しいので、定期昇給が企業にとって現実的でなくなってきているのは当然だが、しかし、定期昇給は終身雇用と表裏一体をなす制度である。若いときに安い給料しか払わない見返りに‘一生雇いますよ’という制度。
だから、もし、経営側がこの制度を改めるというなら、すくなくとも、若年層の給与をあげて‘同一労働同一賃金’にしなければ、とてもじゃないけど、労働側の了承は得られないはず(中高年の給料を初任給まで下げますでは、絶対とおるはずがないし)。
そして、定期昇給をなくすとなれば、労働者が昇給を勝ち取るために組合に頼らざるえなくなるわけだから、企業別の労働組合では力不足で、労働組合は企業の垣根を越えて連帯せざるえなくなるだろう。つまり、定期昇給の廃止と賃金カーブのフラット化は労働組合を強化するだろう。
それに、定期昇給がなくなれば、派遣と正規のちがいはほとんどなくなるわけだ。そのばあい、派遣に対するセーフティーネットの法整備をきちんとすれば、賃金の設定次第では、一時的には、正規で働くより派遣の方が得という現象も起こりうる。
だから、労働組合の戦略としては、定期昇給の凍結を認める代わりに、初任給と若年層の賃金の大幅な上げを要求して、企業別労働組合の壁を超えて連帯していく方向と、最低賃金1000円以上の実現と非正規社員へのセーフティーネットの充実を要求することで、非正規社員労働組合に取り込んでいく方向をめざすべきだろう。
高度成長を前提としない以上、賃金カーブのフラット化と、同一労働同一賃金の方向に向かっていくのは避けられないだろうし、そのほうが企業にとっては労働市場を流動化できる一方で、労働組合にとっても存在価値を高めることにつながるだろう。
日本でもばんばんストをやる時代が来るんじゃないかな。