ザ・コレクション・ヴィンタートゥール

knockeye2010-08-22

昨日は久しぶりに休日出勤などというものをして、今日は、日曜だけの週末をあくせくと、世田谷美術館にでかけたわけだった。
その展覧会でまたシスレーのいい絵があった。
<朝日を浴びるモレ教会>

最近、アルフレッド・シスレーとすれ違うことが多くなった。袖すれあうも他生の縁と申しますが、
先週のは、
<ロワン河畔、朝>

Bunkamuraのストラスブール美術館展でみたのは、
<家のある風景>

で、あれは展覧会のポスターにも使われていた。
しかも、今回の<朝日を浴びるモレ教会>は、もう絵葉書が売り切れ。
もしかしたら、世の中は空前のシスレーブームなのだろうか。知らないうちに。
この三枚に共通しているのは、どれも朝の人気のない風景を描いているという点だろう。「朝の画家」は、シスレーの代名詞にしてはすこし控えめすぎるとしても、しばらく勝手にそう思うことにしておく。シスレーほど美しい朝を描ける画家もそういないわけだから。
Bunkamuraの展覧会とのつながりでは、アルベール・マルケもそう。
<ラ・ヴァレンヌ・サン・テイレール>
小さな川舟が浮かぶ静かな河の絵。
Bunkamuraでは、船が停泊する港の絵だった。
この日は、こんな感じの静かな絵ばかりがこころに引っかかってきた。
考えてみれば疲れていたのかもしれない。
他にも、エドゥアール・ヴュイヤールの<室内、夜の効果>とか、ジョルジュ・ブラックのキュビズムの絵とか。
世田谷文学館サザエさんの企画展をやっていると知って、思いつきで足を向けたが、後悔したのはこのところの暑さ。はじめていく場所を探してうろうろできる暑さではなかった。

サザエさんには子供のころ親しんでいたので、私にとっては目新しい内容ではなかったけど、サザエさんの舞台になっただろう世田谷あたりの雰囲気にふれて感慨にふけった。
世田谷文学館の最寄のバス停は蘆花恒春園という。徳富蘆花が居をかまえていたらしい。
常設展のほうに世田谷ゆかりの文学作品の紹介コーナーがあって、『楡家の人々』のモデルとなった青山脳病院の模型が展示されていた。
十代のころに親しんだ作品に再会してノスタルジーにひたったけれど、とにかく暑い。帰りはたまりかねてタクシーを拾った。
それからついでに書き足しておくと、世田谷美術館の小企画に素朴派の絵画をやっていて、そのなかにアンドレ・ボーシャンの<聖アントワーヌの誘惑>ていうのがあって、また笑ってしまった。