茶陶の道

knockeye2010-12-05

 このところ残業続きで、きのうは極力避けている休日出勤を、半日だけだけれどしてしまい、なんだか今日は昼過ぎまでうだっとしてしまった。
 それでも、どこにも出かけないと来週がのりきれそうにないので、出光美術館に茶道具を見に出かけた。
 国宝の油滴天目茶碗が呼び物であったが、このところ、個人的には茶入に惹かれてしまっていて、見ていると心和む。
 今回の展覧会では、「茶入と茶壺 日本文化が育んだ唐物茶陶」とくくられていた。
 茶入も茶壺も、本来、茶道具として作陶されたものではなく、もとは貿易用の運搬器であったものを、日本人が独特の美意識で茶道具に転用したものだそうだ。あんな小さなものに何を入れて運んだんだろうかと思うが、私はとくに‘文琳’と呼ばれているまるっこいのが好きだ。‘文琳’とはリンゴのことだそうだ。
 現代のリンゴは、小ぶりのメロンほど大きくなってしまっているが、昔のリンゴは、ほんとに茶入くらいの大きさだったろうと思う。林檎の中から抹茶がでてくるって、それだけでちょっとお茶の味もよくなりそうだ。
 茶入の上にのっている、さざえのふたみたいのは、‘牙蓋’といって象牙なんだそうだ。
 一緒に展示されていた、呉州赤絵の赤い魚文が心に残った。『遊動亭円木』で読んだ中国の金魚のことを思い出した。
 明清時代に徳化窯で作られた白磁観音像の、極限まで細い指と小さな首飾りの粒の洗練と退嬰に、中国がふたたびまどろむときがくるだろうか。案外、もうじきなような気もする。
 9月に、この秋にと思った美術展を、まだ回りきれていないうちに、いくつかの展覧会は見逃ししまった。東京周辺の美術展の豊富さは、おすすめできるのではないかと思う。
 この年の瀬に何とか行きたいと思っている美術展。
 
絵の中に生きる 中・近世の風俗表現
http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html
モネとジヴェルニーの画家たち
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/10_monet/index.html
福沢一郎絵画研究所
http://www.itabashiartmuseum.jp/art/schedule/now.html
ラファエル前派からウィリアム・モリス
http://www.yokosuka-moa.jp/
中国陶磁名品展
http://www.seikado.or.jp/sub0201.htm
プライマリー・フィールド
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/museum/exhibitions/2010/primary2/index.html#detail
室町三井家の名品
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html
小谷元彦
http://www.mori.art.museum/contents/phantom_limb/exhibition/index.html
スゴンザック銅版画集 ウェルギリウス『農事詩』によせて 
http://www.city.machida.tokyo.jp/event/shisetsubetsu/hanga/kikakuten/kikakuten04/index.html
水墨画への誘い
http://www.matsuoka-museum.jp/exhibition/201010_3.html