『オールド・テロリスト』

knockeye2014-08-18

 今月号の文藝春秋で、村上龍の連載小説「オールド・テロリスト」が最終回。
 『希望の国エクソダス』の続編、までいわないかもだけど、登場人物が重なっていて、シリーズとして読んでいいと思うんだけど、まあ、このふたつの小説をへだてるわずかの時間、インターネットという言葉の持つ意味がずいぶん変容したというか、そういうことは考えさせられる。
 このところ、文藝春秋を毎月買っていたのは、実は、これを読んでた。
 途中、村上春樹の書き下ろし連作短編も掲載されていた号もあったが、これが不出来で、スランプというより、村上春樹は途方に暮れてるんじゃないかと、心配になるくらいだった。
 この号はまた芥川賞発表の号でもあり、受賞作である柴崎友香「春の庭」と、その選評も載っている。村上龍の評に
「言うまでもないが、描写は、作家にとって、もっとも重要で、ほとんど唯一の武器である。」
とあるのは、まさに村上龍の小説だなと思った。
「・・・つまり、翻訳すべき無言の人々の思いが数多くあると思うのだが、どういうわけか、『不要な洗練』『趣味的』という二つの言葉が、全体的な印象として残った。」
と締めくくられていた。