慰安婦問題で朝日新聞は何を検証すべきだったのか

knockeye2014-08-19

 朝日新聞の虚偽報道を検証する、上記の題の記事がハフィントンポストにあった。
 30年かの年月、虚偽を放置していたことが、どれだけ大きな問題に発展したかについて、改めて考えさせられた。
 ‘1992年1月11日になされた「慰安所への軍関与示す資料 防衛庁図書館に旧日本軍の通達・日誌」という表題の報道’

‘単にそれまでの「慰安所に対する日本政府の関与はなかった」という政府の公式見解を覆すものであった’
のだけれど、問題は、この時点ではまだ、吉田証言や、植村記者の書いた‘『女子挺身隊(ていしんたい)』の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた’という、いわゆる「強制連行」が、事実として放置されていたことだ。
 この検証記事は
‘この記事について言えることは、他方でそれ自身が如何なる「過誤」をも含んでいない’
と書いているが、この記事そのものの中には
‘如何なる「過誤」をも含んでいな’
くても、この時点でまだ、吉田証言を根拠とした、慰安婦報道を撤回していないのだから、この記事は、まるで、吉田証言、あるいは、植村記者の記事を、証明する事実が見つかったように聞こえてしまうだろう。
 したがって、単独の記事の内容にはウソがなくても、それまで朝日新聞が報道してきた文脈を考えれば、この1992年の記事は、それ自身にウソがないだけ、巧妙で、その分、より悪質な、粉飾記事だといえるだろう。
 この巧妙さや悪質さに、文章を生業とする、朝日新聞の記者たちが気づいていなかったとは、私には信じられない。
 しかも、それが、日韓首脳会談のわずか5日前に出された記事であるであることにも、はっきりとした‘狙い’を思わずにおられない。
 これが、つまり、デマゴーグの体質なのであり、ただの、過失による虚偽報道ではなく、混乱や扇動を意図していることが、あきらかではないだろうか。
 このハフィントンポストの記事も
‘(1992年の)この記事は、それまでの日韓両国間における慰安婦問題の状況を一変させ、この問題が政治問題化する分岐点的存在だった’
と書いているが、まさに、それが、朝日新聞の意図であり、‘狙い’だったのだろう。
 この態度には、とても
‘日韓関係や女性の人権問題に関わる何らかの貢献を行ってきた’
などという評価を見いだすことはできない。
 繰り返すけれど、この時点で、まだ、虚偽報道の訂正はしていない。ウソの土台の上に、いくら真実をつけ足しても、ウソは真実にならない。ウソが悪質になっていくだけである。