江戸っ子はスワローズファンという仮説について

knockeye2004-06-07

昨日、小林信彦さんの話が出たついでに、「江戸っ子はスワローズファンである」という仮説について、ちょっと。小林信彦さんは江戸っ子である。そして、小林信彦さんは、スワローズファンである。よって、江戸っ子はスワローズファンである。という、三段論法なのだけれど、成り立ちましょうか?強引に傍証をあげるとすると、同じく江戸っ子の三宅祐二もスワローズファンだし、確か、伊東四朗さんもそうだった気がする。ともあれ、このあたりを知るに及んで、私の中で江戸っ子が腑に落ちた。


そもそも「江戸っ子って何?」という話だが、三田村鳶魚によると「気違いみたいなもの」なのだそうだ。武士による武士のための町、江戸に咲いたあだ花なのだろう。コンプレックスの固まりだったらしい。武士に対しても、上方に対してもコンプレックスを感じていた。一例を挙げると、江戸は慢性的に男あまりだった。武士に女はいない。全国から江戸に男が集結しているのだ。女はいくらいても足りない。その反動で、江戸っ子は女に優しくしないことを自慢した。というより、女を殴ったりするのが、男っぷりだったりした。そうなると女の方でもそういう男がよく見えたりしたらしいからおかしいのだけど、一言で断罪してしまえば、ただのコンプレックスですね。


コンプレックスを持っている都会人というのは、珍しいのではないかと思う。パリやロンドンでそういうことがあるだろうか?一時期のアメリカではあったろうか?普通、コンプレックスは、田舎ものが都会に持つものだと思う。そういう意味では、江戸っ子というのは、なんかいとおしいものではある。


小林信彦さんも言っているように、江戸っ子はもう絶滅種である。滅んで惜しいものでもないし、どうでもいいのだが、ただ、滅んでいくものに殉じようとしている人たちが、巨人ファンでは、話がおかしい。自分は江戸っ子だという人は、やせ我慢しても、スワローズファンを名乗ってほしい。