香田さん

香田さんの事件には、正直、呆気にとられたが、この時点から振り返れば、高遠さんたちを誘拐したグループが、「テロリスト」ではなかったということが分かるし、そのほかにもイラクの状況が納得できるだろう。

なんだかんだと理論武装していても、結局のところ、こりたらしく、前回人質バッシングをあおり立てた、メディアは今回おとなしの構えである。客の顔色を見て瞬時に豹変する。優れたタイコ持ちはこうありたい。

それにひきかえ、あいかわらずなのは、政治家で、「遺体の運搬費用(!)は、遺族に負担して頂く」とのこと。首を切られた同胞の遺体が、バグタットの町中に放置されていたというのに、官房長官が真っ先に言うべき事がそれだろうか?

香田さんの最後の言葉は、「もういちど日本に帰りたいです。すみません」だったと思う。甘ったれていて情けないが、生きて帰りさえすれば、叱ってやることもできただろうに、突然、息子を失った親御さんにはそれもできない。今、香田さんをいちばん叱ってやりたいのは、ご両親のはずだ。だが、その人の許に誹謗中傷が後を絶たないらしい。心ない行為とはこういうものを言うのだろう。