笹まくら

五色沼パラダイスキャンプ場

腰痛の厄介なのは、座っているのが一番つらいところ。
丸谷才一の『笹まくら』を読んだ。
笹まくら (新潮文庫)
徴兵忌避をして逃げ回った男の戦中と戦後が交互に描かれる。戦争に参加しないことを選んだ人間の目を通すことで、終戦をさかいに何が変わったか、変わらなかったか、が鮮明になる。テーマのとらえ方が的確である上に、娯楽作品としても楽しめる。丸谷才一の小説には、はずれがない。
本当に何が変わったんだろう?今度の選挙のことで、まるで戦前のリプレイだ、独裁政治の始まりだ、みたいなことを言う人がいるが、今回程度のことが、太平洋戦争当時のことと同列なのか?ホントにそう思っているのか?ホントにそう思っているとしたら、アホだと思う。
大橋巨泉の批判もホントおかしいよなぁ。「郵政民営化法案なんて骨抜きじゃないか」みたいなことをいうのだけれど、それは小泉純一郎批判にならない。骨抜きにしたのは、抵抗勢力であって、骨抜きにしただけでは飽きたらず廃案にまでしようとしたのは、支持者へみやげがほしかったからだ。どっちがポピュリストなのか?
小泉批判が、いまいちぼやっとしているのは、批判している方が小泉純一郎より年上だからということもあるのではないか?「じゃあ、自分たちの世代でなんとかすりゃよかったじゃないか?」といわれりゃ答えようがない。批判する方は、「ちょっと待ってくれ。そっちに行くつもりじゃなかった」とかいってももう遅すぎる。どっちに一歩踏み出しても問題はあるだろうが、ただ突っ立ってる人間をリーダーに選ぶわけにもいかない。
橋本治の『絵本 徒然草』も読み終わった。
絵本 徒然草 上 (河出文庫)
絵本 徒然草 下 (河出文庫)
これむかしNHKでやっていた。立川志の輔兼好法師の声をやっていたと思う。阿部謹也の『世間とは何か』を読んで、やっぱり『徒然草』は読まなきゃなぁと思ったのだけれど、原文で読む気はしない。というところで、これを思い出したわけ。最初のこころざしを忘れて、ただただ面白がってしまった。