感傷の手


感傷の手

わが性のせんちめんたる、

あまたある手をかなしむ、

手はつねに頭上にをどり、

また胸にひかりさびしみしが、

しだいに夏おとろへ、

かへれば燕はや巣を立ち、

おほ麦はつめたくひやさる。

ああ、都をわすれ、

われすでに胡弓を弾かず、

手ははがねとなり、

いんさんとして土地(つち)を掘る。

いぢらしき感傷の手は土地を掘る。