G8

 菅直人が、フランスで開かれたG8で、エネルギー政策の軸足を自然エネルギーへ移していくと表明したけど、そういうことは、国内に向けていうべきことで、他の国の人としては、そんなこと言われても、どうすればいいかわからない。‘どうぞ、ご勝手に’みたいな反応だったらしい。
 前に、ちらっと書いたけど、福島原発にばかり注目が集まっているが、女川原発は、福島よりひどい津波を乗り切ったわけで、日本の首相としては、福島の事故の状況を正確に伝えるとともに、女川の‘無事故’の状況も、きちんと発信すべきではないかと思う。それは、日本というブランドの信頼回復にもなるからだ。
 地震国での原発の安全基準を作る必要があるという点で合意したらしいが、そのときにどうして、女川について言及しないかなと、ちょっといらっとする。
 誤解のないように言い添えておくが、私は、太陽光や地熱などの比率を高めていくべきだと思っている。
 ただ、福島原発の問題は、原発の問題のように見えて、じつは、官僚と企業の癒着、天下り、御用学者のいい加減な提言、など、この国がずっと抱えてきた病巣の一症状にすぎないことを、見逃すべきではないと言いたいのだ。
 今回は、たまたま原発だったので、事件のあらましが世界に発信されたが、全国ニュースにはならないだけで、日本海側では、関西電力出し平ダムが、富山湾を死の海に変えている。
 福島原発の事故が、私たちに突きつけているのは、ここでもまた、‘脱官僚’というテーマなのだ。
 たとえば、いくら太陽光発電推し進めても、送電発電を分離せず、エネルギー権益が官僚に囲い込まれたままならば、健全な市場原理が働かず、最後には、国鉄などと同じく破綻してしまうだろう。
 ‘脱原発’は、実は、エネルギー分野での‘脱官僚’なのだと銘記すべきだ。