原子力ムラの天下りリスト

 「AERA」と「SAPIO」という食い合わせの悪そうな二誌をまとめ買いした。
 「AERA」には、「経産省から電力、原発団体への天下りリスト」が、実名で載っている。
 北は北海道から南は沖縄まで、全国の電力会社の役員はもちろん(?)、56もの天下り法人に、少なくとも103人もの経産省OBが天下りしている。
 だいたい、56もの関連団体があるのがわけわからんが、そのうちの3団体へだけでも、去年一年に、経産省から流れた資金は、5024億3400万円だそうだ。
 「脱原発」を支持する人も、多くは「全原発廃炉!」とは考えていないだろう。だが、段階的に、ゆるやかに、再生可能エネルギーに置換していくにしても、上のような天下り法人が不必要になることは疑いない。
 「からだを張って天下りポストを守り抜くのが経産官僚だ」と局長が断言する経産省にしてみれば、「脱原発」が、‘ゆるやか’か‘急’かは問題にならない。一般国民とは関心のありかがちがうのだ。

 また日経WEBによると、昨日、自民党で、与党時代に推進した原発政策を検証すべく、会議が開かれたそうだが、河野太郎が「放射性廃棄物を出すのに、なぜクリーンエネルギーと言ってきたのか」などと厳しく追及したのに対して、講師として出席した細田博之元幹事長が「反省すべきところはたくさんあるが、反省だけしても仕方がない。今の政府を追及すべきだ」と述べたそうだ。
 「反省してもしょうがないから、今の政府を攻撃しよう」というようなことで、国民が納得するだろうか?
 公平に見て、原発事故に対して、多くの責任を負うべきなのは、自民党であるのは明らかだと思う。
 「海水注入停止」の安倍晋三のデマもある。
 これだけ有利な攻撃材料を手にしながら、どういうわけで、民主党執行部は、そろいもそろって、菅直人の首を差し出すことに熱中しているのだろうか。
 おそらく自民党としては、民主党が、菅直人の支持に回って(?)、自民党との対決姿勢をとられることを懼れているはずなのだ。
 こう考えてみると、小沢一郎の政治家としての影響力の低下は、力学的というより原理的なものでありうるだろう。敵を刺すべき時に味方を刺した老兵を、将来に夢を託す若い兵卒たちは、少なくとも心の底では、どのように見ているだろう。
 すこし話がそれるのかもしれないが、「AERA」には、国家戦略室が公募していた、エネルギー政策のための職員に、7月1日付、伊原智人というひとが、課長級の役職で迎えられた、という記事もあった。
 2004年に、核燃料の再処理サイクルが、経済的に破綻している実態を訴えた若手官僚たちのひとりで、経産省幹部ににらまれ、その翌年に退職した。6年ぶりに霞ヶ関に職を得たわけである。
 おそらく、日経ビジネスonLineの、この記事に書かれている人ではないかと思う。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20110705/221302/?P=3
 「SAPIO」の方は、「あの東大、京大センセイたちが受け取っていた‘8億円原発マネー’」という記事。
 事故当初、マスコミでコメンテーターを務めた学者たちに、原発関連団体から渡ったカネが一覧できる。
 さきほどの「AERA」の記事とならべて読むと、原子力安全・保安院の元次長が天下った、独立行政法人日本原子力研究開発機構は、経産省から1768億6000万円を受け取り、TBSでコメントしていた京大の山名元教授に約1043万円を渡している、というようなことがわかる。
 ちなみに、安倍晋三のデマを最初に垂れ流したのも、TBSだった、というようなこともわかる。