「ペコロスの母に会いに行く」

knockeye2014-03-01

 「ペコロスの母に会いに行く」は、観にいくつもりにしていたけれど見逃した映画だったが、横浜映画祭でベストテンの3位に選ばれ、森崎東監督が監督賞を、浜田毅カメラマンが撮影賞を受賞したこともあってか、いま、ジャック&ベティで上映されているので、観に出かけた。
 映画千円の日なので、人がいっぱい。ジャック&ベティにはしばらくいっていなかったかもしれない。梶原支配人を久しぶりに見かけたが、あいかわらず、すみずみに気が回っている感じの人で、全体が見えている、という感じがする。もちろんいろいろたいへんなんだろうけれど、ちょっとうらやましい生き方と思うことがある。
 「ペコロスの母に会いに行く」の主演は、岩松了赤木春恵。これが思った以上によかった。
 観にいくつもりの映画を観にいかない場合、自分なりにちょっと理由はある。ひっかかりぐらいのことだけど、今回の場合は、岩松了のハゲづらが、ちょっとあざといんじゃないか、って思ったわけ。でも、そうじゃなかったな。あれは狙いだ。だって、加瀬亮(が、岩松了の父親役ってのも、その配役思いついたときはうれしかっただろうな)も、かつらなんだけど、これがいい味。
 岩松了のひとくせある感じが、ハゲづらとよい化学反応を起こしていた。岩松了温水洋一竹中直人なんだもん。なんだそりゃって。
 でも、原田貴和子がよかった。これが赤木春恵の若い頃の役なんだけど。つまり、原田貴和子加瀬亮岩松了の両親。この時点で、期待させますよね。
 原作は、岡野雄一っていう、長崎ローカルでマンガを書いたり、歌を歌っている人の、自費出版のマンガみたいですね。
 絵の感じは、西原理恵子っぽい感じ。歌は、泉谷しげるみたいな感じ。
 笑って泣けるっていう、文字通り、そういう映画でした。隣の女の子なんか喉鳴らしてました。
 翌日、「ネブラスカ」という、これも老いをテーマにしたアメリカ映画を観たんだけど、これは全然たいくつ(「ペコロスの母に会いに行く」を観たあとのせいもあるかも)。全編モノクロの時点ですでにあざとい。カラーにすりゃいいのにと思った。