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- 作者: 近松秋江
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ハビエル・マリアスの『執着』は、砂田麻美の小説がkindleかなんかの電子書籍になってないかなと探しているうちに出くわした。
西島秀俊、北野武、忽那汐里で映画化された「女が眠る時」の原作がこの人だったそうで、そのノベライズ(ってなんか変な気がするが)の翻訳者(更に変だが)のひとりに砂田麻美が名を連ねている。
リンクを辿って、この『執着』を読んでみたけど、当たりだった。映画「マジカルガール」もそうだったけど、スペインの乾いた感じがよい。デュマの『三銃士』とか、バルザックの『シャベール大佐』なんかが引用される、そのされ方がそそります。
スペインでは翻訳家としても活躍しているそうで、今、村上春樹、丸谷才一、池澤夏樹、などなど、古くは吉田健一も、作家であり翻訳家でもあるという、トランスカルチャーの感覚を持つ人はおもしろい。村上春樹は、ちょっとスランプっぽいけど。
ところで、なんで砂田麻美がここにいたんだろ?。
『乳房に蚊』の足立紳は、「百円の恋」で、一躍「売れっ子脚本家」になったんじゃないかと思うんだけど、その売れない頃、年収35万円つう頃のことを、私小説風に、赤裸々に、自虐的に、しかも明らかに、面白がって書いてます。
これ、売れた後だから笑えるけど、でも、書き溜めてたもののひとつっていうし、奥さん、怒んねぇかっつうわけよ。印象的な一節に「こいつまた俺を許しちゃったんだな」つうのがあります。
タイトルは、自由律俳句で知られる尾崎放哉の「すばらしい乳房だ蚊が居る」から。自由律俳句では西東三鬼の随筆を読んだことがあるけど、西東三鬼は本職が医者だからいいようなものの、自由律俳句は、それで食えるってものではそもそもなかった。にもかかわらず、自由律俳句の俳人というだけで、当局に睨まれたりしたらしい。この当時の支配階級はアホですわ。戦前の日本が「美しかった」などというのは戯言。
ちょっと脱線したのは、うちの選挙区で、三原じゅん子が当選しやがって。国会で「八紘一宇」とか発言するヤツによく投票するな。私テレビ見ないんだけど、漏れ聞くところによると、池上彰の選挙特番で「神武天皇は実在した」と発言したらしい。そう思うのは勝手だけど、そういう人を国政の場に送り込むべきかどうかって、その判断に驚くわ。
近松秋江の「黒髪」は、足立紳の赤裸々ぶりにやられてしまって、赤裸々も進化すんだなって思って、赤裸々の元祖というか、宗家というか、近松秋江を読んでみたくなったわけ。
ところがこの「黒髪」は、引き締まった短編でした。ちょっと怖いようなところもある。
三宅乱丈のは、文春でいしかわじゅんが紹介してた。シュールで面白かった。これは、マンガでないと表現できない世界。電子書籍で読んだので、いしかわじゅんの紹介にあった作者の文章がなかったのは残念でした。