秘密の場所

赤とんぼ

思えば、二十世紀の後半は、人類社会が「平等」に取り組んだときだった。(中略) その同じ時期に大急ぎで国づくりをした日本は、最初から「平等」の課題をまじめに取り上げた。その結果、世界でもまれに見る「平等な国」ができあがった。国連開発計画(UNDP)の百十一か国の統計(2001年)によると、日本は世界でも、6番目にジニ係数の低い国、つまり貧富の格差の少ない国だそうである。

これは、小貫大輔さんの本から、この日記に引用した文章だった。
だが、あらためて考えてみると、「平等」は取り組みやすいテーマだったかも知れない。個人が未発達な集団にとって、「平等」は秩序を維持するための重要なキーワードになりうるから。つまりこの国の平等は、集団主義の反映にすぎず、個人の尊厳に敏感であることを意味しないんだろう。そうでないと、一方で陰湿ないじめがはびこることが、腑に落ちない。