- 作者: 辻原登
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2007/05/01
- メディア: 文庫
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麻生政権のせいで風邪である。
一週間ぶりに日照を記録したせっかくの土曜日をどこにも出かけず、ラフマのポップアップチェアに座ってうつらうつらと過ごした。
辻原登の「だれのものでもない悲しみ」
むかし、パベポTVで上岡竜太郎と笑福亭鶴瓶がよく偶然か運命かをねたにして笑いをとっていたのを思い出した。
誰かがどんな出来事を運命と信じるか、偶然と笑うかは、その人の思い込みに過ぎないけれど、小説の作家にとって、作中の出来事はどうなのだろう。少なくともすべては彼の筆先から紡ぎだされるのだけれど。
作中の人物が何かを運命と感じるか偶然ととるかも作者にその決定権がゆだねられているはずなんだけれど。
小川洋子は「どこかの洞窟にすでに書かれている物語を書き写しているだけ」といっていた。
読者にとってはどうなんだろう。物語を出来すぎていると感じるか、ありそうなことと感じるか、誰かに感情移入したり批判的に感じたり。そういうことも含めて、現実と虚構が奇妙に入り混じるのが辻原登の世界。くせになりますね。