左腕の猫

左腕の猫 (文春文庫)

左腕の猫 (文春文庫)

『転々』という映画を観たあと原作を読んだ。
やばいスジの借金をチャラにしてもらう条件として、その借金取りが自首する道すがら散歩に付き合わされるという設定が魅力的で、映画はその主筋だけもらって他はかなり原作とは違っていた。完成度が高いかどうかはともかくとして面白かった。
その原作者、藤田宜永の短編集。
主人公はどの作品も中年から初老の男性、語り口も主人公の一人称で変化は乏しい。
男と女のあいだに猫を配する小説というと谷崎潤一郎の『猫と庄造と二人のおんな』がある。もちろん、それと較べると見劣りはする。