美しきアジアの玉手箱 − シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展

キリンとの合併が話題になっているサントリー美術館スターバックスが協力しているのは、シアトル美術館ということと何か関係あるのだろうか。
目玉になっている「烏図」は、こういうものが誰が描いたかわからないというのが私たちの国の絵のあり方をよく示している。
「蜻蛉・蝶図」は、七十人もの画家の詩と絵の寄せ書きである。こういう共同作業には、参加する人のセンスが試されるだろう。というか、センスのない人は呼ばれないだろう。朝まで生テレビ森永卓郎みたいなのが一人いたら、ぶち壊しになること疑いない。
だから、江戸時代には少なくと70人をはるかに超すセンスのよい文化人たちがいたという証拠ではある。
そういうことは時代に関係なくやはり大事だと思う。
一方で、「二河白道図」や「出山釈迦図」などの鎌倉時代の仏教画も展示されていた。これが何を意味しているかは、私たち浄土真宗門徒にとっては今でも明白のことであるが、その意味はだんだんにわからなくなっていくものだろう。たとえば「牧牛図」が「十牛図」の一部だと説明しておかないと何かわからないのではないかと思う。
鎌倉時代が持っていた強い宗教性はたしかに江戸時代には影を潜めたといっていいだろう。
注目してしまったのは、古田織部の三点、そのうちの「織部片輪車星文四方鉢」に描かれた五芒星には、おもわず頬がゆるんだ。というのも、きのう「へうげもの」第9巻を読み終えたばかり。千利休切腹の場を含む。
映画化されるという話も聞くが、どちらかというと大河ドラマのフォーマットに向いていると思う。漫画を見ない層にも支持されると思いますね。