アール・ヌーヴォー

秋日和につられて世田谷美術館にアールヌーヴォーを観にいく。
アルフォンス・ミュシャの絵で知られている‘夢見るようなサラ’サラ・ベルナールの愛用した椅子があって、これはすごいものだった。
岡本太郎に「すわることを拒否する椅子」というのがあるけれど、それとはまったく別の意味で、この椅子は座るものを選ぶだろう。すわる女を選ぶというべきか。
この椅子におさまって男たちを睥睨するサラ・ベルナールの肉体がまだそこにあるように感じられた。
ルネ・ラリックの芥子の髪飾りも、ゴージャスすぎて実際には誰の髪も飾ったことがない。アール・ヌーヴォーに実用の美はない。その美は所有する喜びのために供せられている。