ヴェルナー・パントン展

東京オペラシティーといういかにもな場所で、いかにもなデザイナーの展覧会みたいだけど、面白い展示で、途中で靴を脱いで‘作品’の中にはいれるのだ。
戦後活躍したデンマークのデザイナー。この人のパントンチェアは有名なのだそうだ。今年は、柳宗理のバタフライスツールも見た。この二つの仕事にはどこか共通するものを感じる。すくなくとも、‘サラ・ベルナールの椅子’に較べたら(笑)、よく似ているといっても反論されないはずである。
プラスティックを多用した幾何学的で無機的なデザイン、つまり、有機的なものを疎外した低エントロピーなデザイン(?)。
いずれにせよ、現代人は‘木のぬくもり’と同様に、あるいはそれ以上にプラスチックに安らぎを感じるのではないだろうか。近代はもう郷愁のカテゴリーに分類されつつある。だからきっと「環境に優しい」ということは「自然に還れ」などというへんてこなことではなく、ひどく未来的で実験的なことであるのだろう。
同時開催されていた奥山民枝がよかった。<手の中のいのち>の小さな連作もよかったし、私が気に入ったのは<韶光>という油彩。同じく女性のレオノール・フィニを思い出した。
Bunkamuraも東京オペラシティーもクリスマスの飾りつけが始まっている。海老名のビナウォークも昨日からか。かわり映えしないけど、それでもなんとなく年の瀬の気配が漂ってくる。そういえば、目黒では酉の市がもうすぐということだった。