アリゾナ・ショッピング・レーサー

アリゾナ・ショッピング・レーサー

 所さんが、ヤマハのトリシティーを改造した「アリゾナ・ショッピング・レーサー」です。

 私は、前2輪、後1輪のトライクに、ごく若い頃から興味があって、桑田佳祐の映画でお馴染みのミゼットなんかも、なんで、前2輪にしなかったんだろう?と不思議でしょうがなかった(いま考えりゃ前2輪だとコストも技術も大変なんだね。その方がダンゼン安全だけど)。
 マジェとかスカブとか出たての時も、これ、前2輪にできないかなとか、ノートの端に落書きしたりしたのを憶えてる。
 クルマには、基本的に興味がないんだけど、メッサーシュミットBMWイセッタだけにはグッときた(イセッタを三輪だと思ってた)。


 そんなわけで、ヤマハがこのトリシティーを出した時も、お、と思ったんだけど。
 BSフジの「世田谷ベース」で言ってた話の感じだと、どうもヤマハの方から所さんに話があったみたい。で、最初に提案したのが、「アリゾナ・ショッピング・レーサー」だったそうだけど、断られてこの下の写真の黄色いヤツになったらしい。

 所さんとしてはどうしても諦めきれず、持ち出しで作ってみたそうだけれど、カウルを全部とっぱらってネイキッドにしているので、シャーシの欠点がよくわかりますね。
 フットステップは所さんがハーレーのを後付けしたヤツ。で、そこからハンドルまで垂直の棒1本ですよね。途中から斜めに出ているのも後付けだそうです。それを後付けしたのも、あの一本棒がかっこ悪いからです。

 いかにも寸詰まりな感じ。実際街で見かけたこともあるんだけど、前が窮屈そう。もう少しキャスター角を寝かせてタイヤを前にするか、二人乗りにこだわらずにシートを後にさげるかしてくれないと、タイヤが二輪だけにかえって恐い。
 前二輪の安心感をこの窮屈感が打ち消して魅力を損なってる。
 ヤマハはたぶんこのデザインについて迷路に迷い込んでいるらしく、やはりトリシティーをベースにした「03GEN」というのをチラ見せしたり引っ込めたりしたこともあった。

 言い換えれば、ハンドルが前過ぎるって。もう少し、ハンドルを後にするか、タイヤを前にするかで、すごく良くなるのにと思うけど。
 その意味では、同じく三輪だけれど、TOYOTAのi-ROADに一日の長があるかと思われます。

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 ただし、i-ROADは独特の操舵感らしく、乗り味の自然さはトリシティーに分があるかもしれない。しかし、それも、TOYOTAが新しい乗り味を提案しているとも言えるわけで。
 スクーターという形にこだわるんだったら、足を前に揃えて乗るスタイルとの親和性をデザインしなければなりません。バギーみたいのならこのキャスター角でもいいわけよ。跨るんだから。


でも、スクーターなら、やっぱこの角度はないと思います。