FACE受賞作家展

knockeye2016-02-10

 もう会期も終わりだが、新宿の東郷青児美術館で「FACE受賞作家展」を観た。東郷青児記念美術館は、もうずいぶん長い間、こうした公募展を続けている気がする、その受賞作家のオムニバス展。撮影可だったので盛んに撮影してきた。各作家の短いコメントに個性がありこれも面白かった。
 例によってわたしの嗜好は偏っているが、永原トミヒロの作品群には強い印象を受けた。

 大阪の忠岡というところに住んでその風景を描き続けているそうだ。2月20日まで、コバヤシ画廊というところで展覧会が開かれている。
 個人的嗜好にもっとも合ったのは、西村有だった。

特に、この《岸辺》は

素晴らしいと思った。
 田中千智は黒が美しく好もしいけれど、個人的には、こなれすぎていているように感じた。この感覚は、どこまでも感覚にすぎなくて、自分でもあてにはできないが、たとえば、シャガールとか、いわさきちひろの絵を、時には良いと感じたり、時には退屈に感じたりする感覚と同じだろう。ある表現が現実に向かってどの程度有効かというせめぎ合いを感じるか感じないかということかもしれない。

 二川和之の、画面を2分割して微妙にずらす作品は、しかし、デイヴィッド・ホックニーのフォトコラージュという先例に比べても、日本の近世の屏風絵に比べても、もう少し空間意識が欲しいと感じた。ただ、画面を、切ったり、曲げたり、貼ったり、という屏風絵の演出が現代に失われるのは惜しいと感じているので、この表現をもっと発展させてほしいと切に願うのもほんとのところ。

 逆に、村上早の作品は危うさに満ちているが、まだこなれていないと感じた。

 その他の作家さんたちの作品も、もちろん見応えのあるものばかり。今週末までやっているので、新宿に予定のある方は、足を運ばれてみてはいかがかと思う。午後5時半まで入場出来、午後6時に閉まる。