「KUBO」

knockeye2017-11-17

 あの「While My Guiter Gently Weeps」を三味線で弾いてるのは誰なんだろう、と思ったら、日本人じゃなく、Kevin Kmetzって人らしい。歌はRegina Spektor。私は字幕版で観たが、吹き替え版では、吉田兄弟が弾いてるってうわさ。

 字幕版は、声優陣も豪華で、ルーニー・マーラシャーリーズ・セロンマシュー・マコノヒー
 あれだけ日本の風俗を正確に描写しているのに、主人公の名前「kubo」はファーストネーム。日本人の感覚だとちょっとなさそう。でも、ルーニー・マーラの発音を聞くと「クボ」ではなく「クボウ」みたいだから、なくはないかもしれない。安部公房って人もいるくらいだから。
 三味線、折り紙、精霊流しなど、徹底的に日本に取材しているけれど、絶妙なずらし方で無国籍さを担保しているのかも。
 ストップモーションアニメで、ブツどりのコマ撮りだから、あの折り紙細工もみんな実際のブツなはずなんで、ほんとに一枚の紙から折ってるのかどうかはともかく、実際にああいうものをひとつひとつ作って動かしている。こういうのに新鮮な感動を覚えるとなると、自分では気がつかなくても、いつのまにかCGの映像に食傷気味になってるのかなと思う。
 それにしてもみんな目がつり上がり気味。今年は、ワールドシリーズで、ダルビッシュからホームランを打ったグリエルが、指で目をつり上げる仕草をして、差別的だと問題になったが、ダルビッシュもグリエルも、うっかり指が滑った?。今年のワールドシリーズの使用球は滑りやすく、スライダーピッチャーに不利だったとか。
 日本だと目がつり上がってるで有名なのは、故・沖田浩之だったが、だからっつって差別されてる気配もなかった。差別をめぐる議論はいつも本質からずれていく気がする。日本人は自分たちのまわりで差別と被差別がくるくる回るのに慣れている。日本人にとって、差別は線的なベクトルではなく、円を描いている。
 監督のトラヴィス・ナイトは今作が初演出だそう。原案は、会社のデザイナー、シャノン・ティンドルだそうだったが、トラヴィス・ナイトが会社のCEOだったからこそ日の目を見たんだと思う。本来ならかなり冒険的な企画だったはずだった。冒険の旅を成功させたのは、KUBOだけじゃなかったわけ。