大船フラワーセンターの玉縄桜

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玉縄

 大船フラワーセンターに桜を観に行った。実は、その後、ダミアン・ハーストの桜に回った。
 ここの築山にあったはずの啓翁桜を観に行ったつもりだったが、それはなくなって、代わりに玉縄桜てふ、聞きなれない桜が咲いていた。
 フラワーセンターの説明によると、染井吉野の実生の株を選抜したということだった。染井吉野の実生なら、その株は染井吉野になりそうなのに、こういう謎の早咲き桜ができた。
 染井吉野は謎の桜で江戸時代後期に出現して以来、ずっと挿し木で増やしているクローンの桜で、そのせいか寿命が短い。60年ほどで枯れて死ぬ。コピーを繰り返すたびにどんどん生命力は落ちているはずで、年寄りが「昔の桜はもっと色が濃かった」などというのもあながちウソではないだろう。10代のタレントが桜の色を「白い」と言ってたのを聞いたことがある。桜の色をピンクだと思っているのは、こと染井吉野に関しては、思い込みみたいなものだろう。
 浮世絵に描かれている桜は、今私たちが目にする染井吉野よりはるかに色が濃い。あれは誇張ではなく、デビュー当時はあの色だったのだろう。だからこそウケたのだろう。オオシマザクラエドヒガンザクラの掛け合わせというのが本当ならば、オオシマザクラの白さに先祖帰りしているのかもしれない。
 鎌倉の若宮大路の段葛の桜並木が植え替えられたとき、全て染井吉野にしたのはいかにも芸がなかった。そもそも桜が植えられたのは大正時代だそうだが、それにしても、鎌倉時代の遺構なのだから、せめてヤマザクラとか時代考証から文句が出ない桜にしてほしかった。

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オカメザクラ
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サンシュユ
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ウメ「守の関」

 大船といえばこちらなんだけれど、桜の季節だとそんなに違和感がなくなる。

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大船観音寺