『わたしたちが孤児だったころ』

わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)

わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)

このところ、カズオ・イシグロの緻密な世界にすっかり魅了されているが、この作品はすこし色合いが違うようだ。アキラが魅力的。アキラは孤児ではないが、租界を故郷と感じている彼は、一般の日本人と文化を共有できないのだし、さらに致命的なのは、ひとつの文化の中でしか育っていない人は、他人が異質であるという当たり前のことを受け入れない。
最後はちょっと「山椒大夫か?」と思ってしまいました。